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「社民・福島党首訪中」に見る中国の隠された狙い 「中国は愚か」と侮った時点で術中にはまっている

東洋経済オンライン / 2024年2月6日 8時30分

では、中国の狙いとして、海外向けの宣伝といった視点で考えるとどうだろうか。日中以外の主要メディアにおける今回の訪中の扱いは小さく、報じているメディアも多くない。対外向けの宣伝として大きな効果はないように見える。

しかし、日本の政党のトップが中国と思惑を一致させているという絵面はそれなりに利用できるため、今後使うかはともかく、中国が宣伝材料の1つを手に入れたとは言えよう。

処理水は重要トピックではない

そして、中国の隠れた狙いは、「日本国内向けの発信」にあったのではないかと推察する。

福島党首の政治思想は中国と共鳴する部分が見られ、「社民党が保有するコミュニティ=中国の思惑に一定程度共鳴するコミュニティ」に対する発信にその狙いが隠されていたと見る。

一つ目の発信は、「我々(中国)はあなた方を大切に考えている」というメッセージを発信し、当該コミュニティとのパイプの維持を狙う。

もう一つは、コミュニティに対する「日本国憲法改正反対」への強い意思の確認・発信であり、これが真の狙いであったと考える。筆者は、今回の訪中における重要なキーワードは「処理水」ではなく、「憲法改正反対」であったと推察する。

まず、人民網“日本語版”でも処理水に関する発言を取り上げた報道は確認できていない。一方で、訪中に関して新華網の報道を引用する形で「福島瑞穂社民党党首が中国人民抗日戦争記念館を見学」と題し、日中平和友好に触れながら、福島党首の「日本国憲法は、日本は再び戦争を発動してはならないと定めた。これは世界とアジアに対する約束であり宣言だ。社民党は憲法改正に反対であり、憲法の精神を貫徹するために全力で努力する」といったコメントを紹介していた。

岸田首相は、2024年9月までの自民党総裁任期中に憲法改正を目指す姿勢を鮮明にしており、憲法改正への意欲は高い。このような中で、憲法改正に警戒感を示す中国が、憲法改正に反対姿勢を示す社民党の党首と思惑が一致していると敢えて示したことは、日本国内に存在する“自身(中国)への共鳴コミュニティ”に対するメッセージとしては、それなりの意味と決意の度合いを示しているのではないだろうか。

改憲反対への意欲?

そもそも、憲法改正について、自民党・公明党はともかく、立憲民主党は完全に反対というスタンスではない。すると、中国として憲法改正を阻止するために頼れるのは、社民党と共産党くらいだ。

その社民党も公式HP内(1/26の社会新報より)にて「日中関係の改善へ平和外交」と題し、能登半島地震犠牲者への追悼、ビザ緩和への手ごたえ、抗日戦争記念館で献花と3つのトピックを紹介し、最後には「2度と戦争しないと決めた日本国憲法は、世界に対する、アジアに対する約束であり宣言です。社民党は、憲法改悪をさせず、憲法を活かしていく政治を、全力でやっていきます」と締めくくっている。

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