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ゆうパック「半日遅く」で私たちに起きる"影響" 2024年問題を間近に、積載率向上に少しは寄与?

東洋経済オンライン / 2024年2月6日 7時50分

改めて考えるに、この時間はすごい。あくまで時間“外”労働が960時間までだ。月に80時間となる(=960÷12)。過労死と関連性が疑われる時間外労働は、数カ月連続で80時間以上とされる。

私たちは2024年問題として“荷物を運べない”“荷物を受け取れない”と物流問題を語るが、そもそもトラックドライバーは改正後であっても過労死ラインの労働が前提となっているのだ。私はトラックドライバー側から、稼ぎたいので時間外の上限を決められたくない、と主張する人がいるのも知っている。しかし、せめて上限960時間で働くのは持続可能社会としては当然なのではないか、と私は思う。

この2024年問題について無策のままだと日本全体の約14%の荷物が運べなくなる。

ちなみに、日本郵便の件ではなく一般論として話す。荷物が100個あったとする。その100個を、当日の時間内に運ぶのと、当日の時間内+翌日午前に運ぶのと、仕事量としては変わらないのではないだろうか。むしろ100個を当日の時間内に運び終えないと、翌日の荷物が加算されるだけではないだろうか。

ただ、そのようなことにはならない。経済産業省「政策動向のご紹介
~物流の2024年問題~」によると、2020年度のトラック積載率は約38%しかない。つまり62%の余力があるのだ。いつもパンパンの積載で運んでいるわけではない。だから、さきほどの例でいえば、近接地域や近接家屋に細かく運ぶのではなく、まとめて効率的に運んだほうがよいことになる。

話を日本郵便に戻す。利用者からすれば、半日の配達期間を延ばすだけでは意味がないのではないかと感じるかもしれない。ただ積載効率と配達の向上の観点からすると寄与するだろう。

実際に、前述の経産省の資料でも、現状のトラック積載率が約38%とあまりに悪いので、せめて積載率を約50%にしたいと目標が掲げられている。

個人として私たちにできること

そして、荷物を受け取る側として私たちにできることがある。個人としてはなんといっても再配達の削減だ。

事実を述べれば、私たちは「再配達を減らすべき」と社会的なコンセンサスや、宅配ボックス設置により、再配達率は減少している。2018年に15.5%あった再配達率は、2023年に11.1%となっている。減少しているとはいえ、莫大な数(約50億個)の11.1%だから絶対数は多い。この数を減らすことが必要労働力の減少にもつながっていく。

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