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みんな大好き「ココア」発明までの意外すぎる経緯 風車や宗教改革が誕生に影響した理由とは?

東洋経済オンライン / 2024年2月8日 18時0分

みんな大好き「ココア」。発明までの意外な経緯とは(写真:CORA/PIXTA)

もうすぐバレンタインデー。今では我々の生活に欠かせない存在となった「チョコ」ですが、さまざまな歴史や偶然の積み重ねのうえに、今の姿があります。

増田ユリヤさんの新著『チョコレートで読み解く世界史』より一部抜粋、再構成してお届けします。

チョコレートパウダー「ココア」の発明

カカオをチョコレートにするための最初の工程は、焙煎したカカオの実をすりつぶすこと。マヤ文明やアステカ文明の時代から「メターテ」という弓なりの形をした石のまな板の上に煎ったカカオをのせ、石の棒を弓の形に沿わせるように置いて転がしてすりつぶしていました。

ちなみにフランスのバスク地方では、各家庭でこのメターテを使ってチョコレートを作っていた時代があり、今でも納屋などから見つかることがあるそうです。

オランダの風車は、干拓のために水をかき出すためだけでなく、風車の動力で石臼を使って小麦をひいて粉にすることなどにも利用していました。その技術と発想から、粉末のココアを発明したのが、オランダ人のバン・ホーテン父子です。

18世紀から19世紀にかけて、世界各地との貿易が盛んになった結果、オランダに入荷するカカオの量も増え、一般の市民にチョコレートを提供するカフェも増えました。需要が増えたので、手早くチョコレートを提供する必要が出てきたのです。

そこで、アムステルダムに、カカオを加工して売る業者が現れはじめました。そのひとりが、カスパルス・バン・ホーテンです。カスパルスは、アムステルダムの運河沿いに小さな工場を構え、ライセンスを取ってココアの製造・販売を始めました。工場を始めた当初はまだ手作業でしたが、カカオ豆を焙煎して石臼で挽き、それを固めて売ったのです。カカオをお湯で溶かす前の状態にまで加工したのですね。

豆を挽いた状態のものをカカオマスと言います。カカオマスには油脂分が多く含まれていて飲みにくかったので、お湯に浮いた油脂分を取り除いたり、砂糖やシナモンなどの香辛料とともにトウモロコシの粉や卵などを混ぜたりして飲んでいました。想像しただけでも、まだまだ飲みにくそうですよね。

この油脂分を大幅に取り除くことに成功したのが、カスパルスの息子コンラート・バン・ホーテンでした。コンラートは、カカオマスをプレス機にかけて油脂分(ココアバター)を搾り出して半減させることに成功しました。油脂分が少なくなったカカオマスのかたまりを砕くと、粒子の細かいココアパウダーになります。バンホーテン社はこの製法の特許を取りました。

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