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台湾人の「民主」「統一」が中国人とこれだけ違う理由 日本滞在中の中国人記者が台湾で物議を醸している

東洋経済オンライン / 2024年2月8日 11時20分

つまり、民主派、リベラルな立場で中国の民主化には賛成でも、台湾との統一は「当然」と考えている場合があるのだ。方法論として武力を用いるのか、経済的に取り込むのか、あるいは静観するのかの違いしかない。

今日、中国政府が台湾問題でよく発する「台湾を統一することは14億人の思い」というものは、あながち虚構とも言い切れない。

一方で、現在の中国当局の締め付けは、人々により民主化とは何かを考えさせるムードになっているようだ。とくに民主派やリベラルな中国人の中には、今回の台湾の選挙は、中国における民主化の試金石のように扱われており、自らの思いもそこに重ねていた。

しかし、彼ら中国人の前提は多くが「統一」である。台湾の若者の発言は、そんな民主派の中国人らも唖然とさせただけでなく、中国民主化の最後の砦のように捉えていた台湾への思いも、完全に打ち砕くものとなった。

「同じ中国で、われらは中国人」という思いや、実は台湾人もそうだろうと信じていたことが、今の台湾の若者には全くないということが明らかになったのである。しかも映像を通して世界中に拡散されたのだった。

動画を視聴した中国人の一部からは「こうなったら武力でいいから急いで台湾を統一しなければならない」とのコメントが上がっていた。彼らのショックの度合いがどれほどだったか想像できるだろう。

さて、マイクを向けて若者に質問しているものの、この時点で王氏は記者活動をしているとは言い切れない。しかし「1人の海外在住の中国人が台湾でネットメディアによる取材をしている」と思われ始め、それまで王氏にあまり注目していなかった台湾人も目を向けるようになったのだ。

そのように王氏が注目を集めつつあった中で、事件は起きた。

王氏は1月22日、前述の台湾のネットトークショーに出演した。台湾に対する考えや選挙戦について問われると、民進党の選挙戦を批判。身体障害者である陳俊翰氏を担ぎ出し「同情票を集めている」と述べたうえに、さらに陳氏の話し方や動作をまねたりしたのだ。

今日、台湾が高度なインクルーシブな社会、多文化共生社会にあることは広く知られている。陳氏を揶揄した王氏の発言は瞬く間に台湾中を駆けめぐり、各界から王氏への批判が相次いだ。

「身体障害者候補は見せ物」と発言

政界でも与野党問わず議員が、その発言や行動は不適当であると指摘。王氏は一時は「自分は間もなく日本国籍を手に入れられる。“日本人”を入国拒否できないだろう」と強気な発言をしていたが、その後は陳氏へ正式な謝罪を申し入れた。

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