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台湾人の「民主」「統一」が中国人とこれだけ違う理由 日本滞在中の中国人記者が台湾で物議を醸している

東洋経済オンライン / 2024年2月8日 11時20分

しかし、社会的責任や世論動向に敏感な一般企業はもっと直接的に動く。このトークショーのスポンサーだったドイツのベッドメーカーが出資中止を決定、さらに配車サービス企業もこれに追随したのである。

揶揄された陳俊翰氏は、脊髄性筋萎縮症(SMA、spinal muscular atrophy)を患いながらも、国際法や国際人権法、障害者政策などを専門とし、台湾ではこれらの分野で代表的な法律家だ。

台湾大学で会計学と法学を学び、同大大学院とアメリカのハーバード大学大学院、ミシガン大学大学院で法学修士、さらに同大で法学博士を取得している。

今回の騒動で陳氏は、「自身が揶揄されたことよりも台湾の民主的な選挙がたんなるショーのように思われたことについて受け入れられない」と発言している。

陳氏は、「そもそも中国は選挙の自由すらないのに、台湾の自由で民主的な選挙をあざける方がおかしい。王氏の認識は、もしかしたら中国社会の発展と関係があるのかもしれない。身障者が出馬するのはおかしい、自身の理念や考えを実現させる能力がないと考えられているのだろう」と皮肉交じりで指摘した。

さらに、「身障者が政権や政党の同情を引く道具だと思っているようだが、そんな理解や考え方は間違っている。台湾の自由と民主主義は三十数年の歴史があり、身体に障害があるか否かにかかわらず、年齢が一定以上であれば、どんな人も理念や考えを訴えることができ、自由に政治に参加する権利を有しているのだ」などとも付け加えた。

騒動は訴訟に発展

その後、陳氏はトークショー番組の編成や運営方法から、台湾社会にも依然として障害者への無理解があるとし、今回の事件を教訓としてほしいと語った。

王氏が謝罪し、陳氏も大人の対応をし騒動は徐々に収束していくかに見えたのだが、2024年1月30日、王氏は突如SNSで台湾移民署の入国禁止措置に不満があるとして、代理人を通して同署を訴えると投稿したのだった。

王氏はメディアに出演したが報酬を得ておらず仕事ではない。また、多くの外国人、さらには在外中国人が選挙ウォッチのために入国しており、自分だけが処分を受けるのは不当だと訴えた。

陳氏への差別的言動から、当局による政治的迫害への第2ステージに入ったと言える。

一方、陳氏への差別的言動では、立場に関係なく王氏を批判していた台湾の人々。今回の訴えに対しては王氏に賛同する人もいる。司法の場でどのように議論され、判断されるのか。今後の動向に注目していきたい。

高橋 正成:ジャーナリスト

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