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恐怖すら感じる「トランプの選挙集会」のリアル 若者=民主党支持の構図は完全に崩壊している

東洋経済オンライン / 2024年2月8日 11時30分

おばあさんが夜、仕事から戻ると、蛇は回復していた。おばあさんは蛇を胸に抱き、美しい鱗をさすってやりキスした。蛇はお礼も言わずに、彼女にかみついた。『救ってあげたのになぜ?あなたは毒蛇で、私は死んでしまうわ』とすすり泣くおばあさん。『黙れ、愚かな女。連れて帰る前に、俺が蛇だと知っていたくせに』と蛇はニヤリとしながら言った」

会場からは「オーーー!」という、怒りと失望が混じった声が漏れた。移民は、「レイプ魔」などになり、米国の安全を脅かすというのがトランプ氏の長年の主張だ。

拡大する「トランプ・ワールド」

予想通り、メディア批判は3回ほどあり数分続いた。

「フェイクNBC!フェイクABC!フェイクCBS!フェイクFOX!」と以前はお気に入りだった保守系テレビ局FOXも敵にまわす。「そして、フェイクCNN!」と声を荒らげると、ブーイングが一段と強まる。私は心拍数が上がるのを感じ、耳の後ろが脈打った。

鉄柵の中のメディアプールは、いわば「安全地帯」で、一瞬メディアパスを取らなかったことを後悔した。しかし、ブーイングは長く強く、カメラマンも記者も柵の中で身じろぎもせず立っている。以前の取材で、CNNの前の鉄柵に人々が集まり、罵倒しているのを見たことがある。

実は、この集会に先立ち訪れた同州のトランプ選対本部では、ゆっくりと人々の話を聞くことができた。みな普通の市民で、「暖かくして」「無事に家に帰るように」などと気遣ってくれた。しかし、トランプ氏が集会で焚き付けると、怒鳴ったり、ブーイングをしたりする集団になる。

演説が1時間半をすぎると、足が悪そうな年配者がパラパラと帰ったが、若い人は席を立たない。元大統領という公的人物が決して使わない、彼独特の表現で盛り上がり、まるでお笑い番組を見ているかのように楽しんでいる。

「WTF(なんだってんだ)」「ねじ曲がったバイデン」「グローバリスト/過激左翼の民主党員」「バイデン災害」―。近くの若い男性が、いちいちトランプのせりふを繰り返し、大声でのけぞって笑っている。

これが「トランプ・ワールド」だ。そして、このワールドは確実に、2016年、2020年よりも拡大している。選挙陣営も、今まで見たことがないほど効率的に動いていて、確信に満ちていた。選対本部では、地域リーダー、広報、電話バンク、個別訪問の各担当がテキパキとボランティアを手伝い、メディアへの対応も慣れたものだった。

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