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表計算「作った本人が退職」会社で起きる大混乱 自己診断できる、デジタル化レベルチェックも

東洋経済オンライン / 2024年2月8日 12時20分

なかには、「当社は全部表計算ソフトのデータで仕事をするようになっているので、かなりデジタル化が進んでいると思っています」と胸をはる社長も見かけます。表計算ソフトをうまく使っていれば会社のデジタル化は充分なのだ、というにわかには信じられない誤った認識の経営者が少なくないということです。

ソフトを高度に使いこなすことは難しい

表計算ソフトを高度に使いこなすことについて、頭から否定することはいたしませんが、表計算は表計算です。

あくまでも表のなかで縦横の計算をするのがこのソフトの役目です。データとデータの間の連係とか、データの書式を定型化する考え方がまったくなく、そもそもそのようには作られていないものなのです。

日々大量にくる受注や、それに応じて発行しなければならない発注書を自動作成するための専用ソフトではありません。生産計画を立案して実績を管理する専門ソフトでもありません。

もちろん、スタッフの手で売上分析や予実管理のために使うのであればまったく問題ないのですが、これを企業の日常業務に組み込もうというのは考え違いです。

それらの業務に表計算ソフトを無理矢理使おうとすると、どうしても関数や高度な機能を多用することになります。そうしないと使えないからです。

表計算ソフトは表を計算するためのソフトなので、表の外側とのデータ連係は基本的にできない、または機能不足です。したがって複数の部門間にまたがる仕事を表計算ソフトでこなそうとしても、おのずから限界があります。

仕方なく、表から表へデータのコピー&ペーストを頻繁にするようになり、その単純作業が社員の仕事の一部になってしまいます。こうなると、表計算ソフトはもはやデジタル化を阻む「業務のハードル」と言わざるを得ません。

この状態を私は、「表計算ソフトへの過度な依存がデジタル化を阻害している」と呼んでいます。

さらに、表のなかに高度な関数や機能が組み込まれていた場合、作った本人以外の人には判読がむずかしくなります。そのため、時が経過するにつれ、しまいには改造すらできない状態になります。

表をつくった本人が退職し大混乱

会社によっては、「この表を作った人はもう会社にいない。中身を修正したくても、難解でまったく理解できないからいじることができない。この表が運用できなくなったら、どうしたらいいのかわからない」こともあります。

実際、お客さまのところにお邪魔している際に、総務部門の担当部長が困った顔で「鈴木先生、この表が複雑で困っています。少し修正したいのですが、どんな処理をしているかわかりませんか?」と聞いてこられたことがあります。

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