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"久遠チョコ"バラ売りでヒットの意外なきっかけ 面白がってくれた百貨店のカリスマバイヤー

東洋経済オンライン / 2024年2月9日 11時50分

そして2024年のうめだ阪急のバレンタイン催事のコンセプト自体が「マルシェ」に。市場(マルシェ)を回るように、各ブランドがバラ売りしているチョコレートをお客さんが楽しみながら一つひとつ選ぶ、というテーマになったのだ。久遠チョコレートのスタイルが認められたようで誇らしい。

絵本みたいな3枚セットがヒット

ある時、バラ売りのテリーヌチョコレートを選ぶお客さんを見ていて、1つの場面が思い浮かんだ。

1枚手に取っては考えて戻し、次の1枚を手に取ってはまた戻し、を繰り返しているお客さんの姿に、書店であれこれ迷いながら本選びをしているシーンを連想したのだ。

そこで閃いたのは、テリーヌチョコレートを3枚セットにしてタイトルをつけて、絵本のようにして売るのはどうだろう、ということだった。

自信のなさから1枚ずつ買えるのをテリーヌチョコレートの売りにしていたが、そろそろ次のステージに行ってもいいのでは、と考えていた頃だった。

そこで、2023年の百貨店のバレンタイン催事で販売したのが、「QUONテリーヌ3枚セット」。

テーマに合わせて3種のテリーヌチョコレートをセットにし、タイトルをつけて絵本のようなパッケージをデザインしてもらった。背表紙が見えるように縦に並べるだけではなく、表紙を見せて陳列する“面陳”や“平積み”でも店頭展開すると、本当に絵本売り場みたいになった。

たとえば、『久遠のはじまり。』は、6種類から始まったテリーヌチョコレートから3種をセレクト。『感じるカカオ』は、カカオの原産地が異なるビターな3種。

普段よく売れているのがベリー系のフレーバーだったことから生まれたのが、『苺はいつも裏切らない』。3種のストロベリーチョコレートをセットした。

バレンタインシーズンが受験シーズンと重なることからよく売れたのが『前を向き、頑張るあなたへ。』。覚醒作用が期待できるカカオ分が濃いテリーヌチョコレートと、脳の栄養となる糖分が高いテリーヌチョコレートを組み合わせたものだ。

お客さんとの会話が増えた

3枚セットにしても、僕が好きなお客さんたちとの会話は減ることなく、むしろ増えたぐらいだ。

『ジャンドゥーヤって??』は、ヘーゼルナッツペーストをミルクチョコレートに入れたイタリア生まれのお菓子ジャンドゥーヤの3枚セット。日本人にはまだ馴染みが薄いため、「ジャンドゥーヤというのはこういうお菓子なんですよ」と説明しながら、お客さんとの会話が弾む。

16種類のタイトルと組み合わせを考えたのは僕自身。お風呂のなかで考えるのが楽しくてワクワクしたものだ。

不思議なもので、バラ売りしていた時は一人3枚ほどの購入だったのが、3枚セットにしても、みなさん迷って結局3箱買い求めてくれた。結果、客単価が上がったのだった。大好評だったことから、バレンタイン催事だけではなく、現在は全国で通年販売する定番商品となった。

夏目 浩次:久遠チョコレート代表

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