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障害者手帳をやっと手にした44歳男性の紆余曲折 「TOEIC975点」資格は多数だが、メンタルは悪化

東洋経済オンライン / 2024年2月9日 12時10分

資格を取っても就職につながらない――。主治医に障害者手帳について相談をしたのはちょうどこのころのことだという。ところが、返ってきたのは精神疾患は自己責任といわんばかりの言葉だった。

通訳の資格も生かせない、福祉サービスの利用もできない。ならばと、いくつかの会社でパートやアルバイトとして働いてみた。倉庫内のピッキングやスーパーの品出しといった仕事だったが、いずれも1、2年でうつ状態になったり、気分の浮き沈みが激しくなったりしてどうにも働き続けることができなかったという。この間、両親に迷惑をかけまいと、一人暮らしを試みては体調を崩し、実家に出戻るということも繰り返した。

ユズルさんの履歴書の「免許・資格」欄を見ると、「サービス接遇実務検定2級」「リテールマーケティング検定2級」「ロジスティクス管理3級」「ITパスポート」など数多くの取得資格が並ぶ。転職を繰り返すなかで、少しでも能力やスキルを身に付けようとあがき続けた様子がみてとれるようだった。

一方でメンタルの状態は悪化の一途をたどる。

20代の終わりに別の精神科医から双極性障害と診断される。数年前には独断で処方薬の服用をやめてみたが、4カ月で体重が20キロも落ちた。結局、3度目の入院をすることになり、その際に統合失調症と気分障害が併発する統合失調感情障害と診断された。

そして退院後に障害者手帳を取得。今は毎月約6万円の障害年金を受給しながら障害者雇用枠で働く。フルタイム勤務ではないので、月収は年金を合わせても17万円ほどだ。  

そもそもユズルさんが精神疾患を発症したきっかけはなんだったのか。

あらためて時系列で振り返ってみる。

ユズルさんの子ども時代、学校の勉強はよくできた。共働きの両親はとりたてて教育熱心というわけではなかったが、進学した私立高校では成績優秀だったことから学費は全額免除。特別進学コースにクラス分けされ、国立大学を目指していたという。

数十万円するカセットテープで成績はアップ

ところが、あるとき成績が落ち、担任から「第一希望の大学は厳しい」と言われてしまう。そこでユズルさんが頼ったのが集中力や記憶力が高まるとうたう、いわゆる自己啓発本だった。数十万円するカセットテープのセットも「親に頼み込んで買ってもらいました」。

テープを聞き始めると、効果は2つの面で即座に現れた。成績はアップ。再び志望校の合格圏内に戻ることができた。一方で夜眠ることができなくなった。正確には数時間は眠るものの、その間も脳が覚醒しているようでまったく休めた気がしなかったという。

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