「ソニー」が引き金に?決済ビジネス再編の足音 米投資ファンド「ソニー銀行子会社」買収の思惑
東洋経済オンライン / 2024年2月9日 7時30分
アメリカ投資ファンドのブラックストーンは1月31日、ソニー銀行の子会社で、決済代行会社「ソニーペイメントサービス(SPSV)」の株式80%を取得した。取得額は約400億円と見られる。
【図解】ソニーペイメントサービスの純利益推移、安定しているが・・・
決済代行という裏方の業務で、かつソニーグループの中でも小型企業であるがゆえ、あまり大きな話題にはならなかった。決して派手ではないディールだが、決済ビジネス再編の起爆剤となる可能性を秘めている。
決済代行の「4強」に照準
「われわれと一緒にやりませんか」
2022年7月。ブラックストーン・グループ・ジャパンの坂本篤彦代表は、SPSVの中村英彦社長の元を訪れていた。決済代行事業の将来性について両者は意気投合し、中村氏も「ブラックストーンと一緒にやりたい」と応じた。
EC(ネット通販)やキャッシュレス決済の拡大を見越したブラックストーンは、かねてから「決済代行会社」への投資を模索していた。銀行やクレジットカードといった決済機関と、小売りなどの事業者を仲介し、代金の支払いや売上管理などを一手に担うビジネスだ。
デロイトトーマツミック経済研究所によれば、日本のネット決済代行サービス市場は毎年10%以上拡大し、2023年度は5933億円に達する見通しだ。
あまたある決済代行会社の中でも、「4強」が市場を牛耳っている。最大手のGMOペイメントゲートウェイ、デジタルガレージ系のDGフィナンシャルテクノロジー、ソフトバンク系のSBペイメントサービス、そしてSPSV。4社で決済取扱高の約8割を占める。
業界の巨人であるGMOペイメントゲートウェイは株式市場で高値がついている(2月8日時点時価総額6759億円)。SBペイメントサービスはグループ会社向け業務が主で、グループからの分離が難しい。残るDGフィナンシャルテクノロジーとSPSVのうち、白羽の矢が立ったのが後者だった。
ブラックストーンがSPSVに関心を抱いたのは、単に業界大手の一角を占めるだけではない。
SPSVの唯一無二の強み
決済代行会社は、データを送受信するネットワークに接続している。国内ではNTTデータの「CAFIS」とJCB系の「CARDNET」が主流だ。
一方、SPSVは決済代行会社としては珍しく独自のネットワーク「e-SCOTT」を構築しており、NTTデータなどに利用料を支払う必要がない。こうした特徴から、同業と比べても高い利益率を誇り、この点にブラックストーンは惹かれたようだ。
この記事に関連するニュース
-
GOOPASS、ソニーペイメントサービス株式会社との資本業務提携契約を締結
PR TIMES / 2024年7月5日 1時40分
-
アリナミン製薬売却=ブラックストーン、アジア系ファンドに
時事通信 / 2024年7月3日 11時23分
-
帝人が虎の子「めちゃコミ」売却に至った切迫事情 「潤沢に資金を使えるわけではない」と社長
東洋経済オンライン / 2024年6月24日 8時40分
-
「めちゃコミ」米ファンドが買収…電子コミックの現状と未来を解説
RKB毎日放送 / 2024年6月21日 16時16分
-
ブラックストーンが電子コミック配信サービス運営会社大手のインフォコムに対する公開買付けの意向を発表、国内で今年最大のプライベート・エクイティ投資案件に
PR TIMES / 2024年6月18日 18時45分
ランキング
-
1今度はなんのコラボ? マクドナルドのX、次回の「ハッピーセット」のヒント画像公開...期待高まる
J-CASTニュース / 2024年7月4日 16時49分
-
2妻に先立たれた65歳、年金約17万円・おひとり様シニアを襲う<老後破産へのカウントダウン>
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月3日 9時0分
-
3宝くじで「10億円」当選! でも実際に“手では持てない”って本当?「1000万円」なら片手で持てる? 元銀行員の筆者の経験もあわせ解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月4日 4時40分
-
4「衝撃でした」従業員も驚き「川崎重工業」の裏金問題 海自隊員らに飲食費など提供か 共同作業で懇親会も 規模は十数億円の可能性
MBSニュース / 2024年7月4日 11時45分
-
5子供いない夫婦「相続で失敗しない」1つの方法 家庭裁判所で「調停」が必要になるケースもある
東洋経済オンライン / 2024年7月4日 8時20分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください