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近未来は人間のいない戦争に備える必要がある メタバース空間における戦争「メタマゲドン」も

東洋経済オンライン / 2024年2月10日 19時0分

現在、黎明期にある第4次産業革命においては、あらゆるものがインターネットにつながり(IoT:Internet of Things、モノのインターネット)、デジタルの世界と物理的な現実世界、さらに人間そのものが融合する環境が整備されつつあります。

このような技術環境の中で、AIが、物理的な実装化にとどまらず、現実空間と融合を深める仮想空間へ、そしてさらには認知空間へと、その応用の領域を広げていくことが懸念されます。

例えば、AIによる偽の動画や音声を作り上げるディープフェイクと言われる情報操作もその1つであり、今後、先端技術を用いた偽情報の流布にも警戒を強める必要があります。

アメリカ務省は、2020年5月8日、中国外交部がツイッター(現X)のプラットフォームにAIを使った「ネット水軍」を大量に投入したとして、中国の智能化戦争の中に偽情報攻撃も加わった可能性を指摘しました。2003年以降、中国では、有利な周辺環境など作為するために、「三戦」と言われる輿論戦(よろんせん)、心理戦、法律戦を展開しています。

「輿論戦」は自軍を鼓舞するための輿論形成を図るもので、日本の首相の靖国参拝に反対することもその一種です。「心理戦」は敵の抵抗意志を削ぎ、自らの意志を強制するためのもので、2010年の尖閣諸島中国漁船衝突事件におけるレアアースの禁輸などが該当します。

「法律戦」は自軍の行動が合法であることを主張し、相手の行動を違法だと非難するもので、一方的な法律を制定して海南省周辺海域からベトナム漁船を法的に排除したことなどが挙げられます。

現在の偽情報などによる認知領域への攻撃は、この三戦をより洗練させ、進化させたものと見られます。それはあらゆるディバイスから収集された個人情報や一般情報がビッグデータ化する中で、より精緻で効果的な手段として着実に進歩を遂げているからです。

近年のデータ駆動の経済においては、SNSや携帯アプリなどから収集された幅広い情報がビッグデータとして蓄積される結果、選択的かつ効率的に、それらのデータを攻撃のデータとして悪用することが懸念されています。

人間が使用するディバイスから収集されたビッグデータを使い、攻撃者側は攻撃態様、時期などを主体的に決定し、逆にそれらのディバイスに対して特定の偽情報を流すことで、人間の認知領域への攻撃を行なっているのです。

中国ではAI技術で偽情報を発信するシステムも

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