1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

紫式部「清少納言の作品」を"猛烈批判"その心の内 「奇をてらうばかりで中身がない」と酷評した

東洋経済オンライン / 2024年2月10日 11時10分

紫式部は幼少の頃より、漢籍に親しみ、漢文を読みこなしてきたと言われていたため、それなりの自負心もあったでしょう。その自負心が、清少納言批判に転化したのではないかとも思われます(一方で、清少納言への嫉妬もあったとも言われています)。

紫式部と清少納言は、年齢や宮仕えの時期も10年近く違うため、面識はなかったとされます。

それにしても、紫式部の清少納言への口撃は、清少納言の『枕草子』を全否定したいかのようです。

清少納言の『枕草子』は、一条天皇の中宮だった亡き定子を追懐するものでした。紫式部が仕える彰子(同じく一条天皇の中宮)としては、それが我慢できないものだったのかもしれません。それが、清少納言批判につながった可能性もあります。

紫式部は、あれやこれやの人物批評の後に書きます。

「何一つ思い当たる取り柄もなく、生きてきた人間で、そのうえ、特に将来の希望もない私は、慰めにするものもありません」と。

漢籍や古い歌が積み上がる紫式部の部屋

紫式部の部屋には、漢籍や物語、古い歌などが積み上がっていたようで、それを見た家の女房たちは「奥様はそんなだから、ご運が拙いのよ。どうして女性が漢文の本など読むの。昔は漢字で書いたものは、お経でさえ、読むのを、人がやめたものなのに」と陰口をたたいていたようです。

式部はそれを聞いて「運の拙さは、女房たちの言う通り」と自嘲気味に書いています。

(主要参考文献一覧)
・清水好子『紫式部』(岩波書店、1973)
・今井源衛『紫式部』(吉川弘文館、1985)
・紫式部著、山本淳子翻訳『紫式部日記』(角川学芸出版、2010)
・倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社、2023)

濱田 浩一郎:歴史学者、作家、評論家

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください