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みんな凸凹で当たり前、目指すは"一流のチョコ" 久遠チョコレートは社会貢献ブランドではない

東洋経済オンライン / 2024年2月12日 13時0分

「どんな感動がありますか?」という問いかけには、「そういう違いを乗り越えて理解し合い、一つの目標を成し遂げたら誰でも感動します。そこに障がいがあるかないかは関係ないと思います」と答えたのだった。

すると司会者は戸惑い、客席にいた障がい者を支援する社会福祉法人の方々、イベントをサポートしているクライアント企業の関係者などをザワつかせてしまった。予定調和をぶち壊して申し訳ないと思ったのだが、久遠チョコレートの本当の姿を知ってもらいたいと思ったのだ。

「一流になってください」重い一言

考えさせられたのは、もっとチョコレート屋としての「一流」を目指さなければ、ということだ。

久遠チョコレートが「社会貢献ブランド」ではなく、チョコレートの「一流ブランド」として扱われるようになった時が、僕が目指す「凸凹ある多様な人たちがそれぞれに活躍し、稼げる社会」が当たり前になる時だと思うからだ。

一流を目指さなければ、という思いを強くした出来事がもう一つある。

3年ほど前、ある百貨店のバレンタイン催事に出店した際、会場を訪れた20代の女性客から手紙をもらった。たまたま僕たちのチョコレートを試食して気に入ったので購入し、その後、パッケージに添えられたカードを見て、多様な人びとが働いているブランドだと知ったそうだ。

女性は幼い頃からの願いを手紙にしたため、僕に手渡そうと再び会場に足を運んでくれていた。聞けば女性の妹に知的障がいがあり、いつも母親が付きっきり。障がいがある人の働く場が少なく、受け入れ先探しにも奔走していたという。

そんな背中を見てきたのだろう。「お母さんが苦労しなくていい社会になるといいな」。手紙にはそう書いてあった。

もっと社会に大きな器があれば、どれほどの親子が今とは違う時間を過ごせるだろうか。大勢の人が行き交う会場で、しばらく互いの思いを話したあと、その女性の口にしたひと言が重く心に残ったのだ。

「一流になってください。応援しています」

一流ブランドを目指すは無謀か

一流ブランドを目指す。

これを無謀な考えだと思うだろうか。僕は決してそうは思わない。久遠チョコレートを通じて、多くの「一流」と触れるうちに、その思いは強くなっている。

久遠チョコレートは、多くの名門チョコレートをプロデュースするトップショコラティエ・野口和男さんを始めとする、数々の人たちとの出会いを通じて成長してきた。

そんな恩人の一人だと僕が勝手に思っているのが、うめだ阪急のバレンタインイベントを担当するバイヤーの高見さゆりさん(前記事参照)だ。

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