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運転歴30年タクシー運転手の脳が成長した理屈 「加齢=記憶力の低下」は脳科学的には間違い

東洋経済オンライン / 2024年2月12日 16時30分

ロンドンの入り組んだ複雑な道を記憶しなければいけない運転手は、日々、記憶のトレーニングをしていた。その結果として神経細胞が増殖し、海馬の体積まで増えた、ということです。

毎日、ボーッとした刺激のない生活をしていれば、脳は衰えます。脳細胞も歳とともにドンドン死んでいくでしょう。しかし、脳を鍛えることで、記憶に関して重要な働きをする「海馬」の細胞数を増やし、さらには海馬の体積を増やすこともできるのです!

脳を鍛えて、脳を育てる!

成人以降は、脳は成長しない。老化によって機能が失われていくだけだといわれていましたが、先述したように、これは間違いであることが明らかになっています。

脳の機能は、神経細胞の数と比例するわけではありません。それよりも、神経同士のシナプス結合の数と関連するのです。

神経は、神経同士でネットワークを構成していますが、その接合部をシナプスといいます。1つの神経細胞は、数千のシナプス結合によって他の神経細胞と結合しています。物凄く緻密なネットワークです。

このシナプス結合の数は、脳を鍛え続けることによって、40歳をすぎても、50歳をすぎても増やすことができます。

シナプス結合の数を増やすことで、あなたの「記憶力」をも高めることが可能だということです。

老化による記憶力の低下には個人差があり、高齢者の中にも記憶力が目立って低下しない人がいることも数々の研究、実験によって明らかになっています。

何もしないと歳とともに脳細胞は失われ、脳は老化し、記憶力の減退が進んでしまいます。

しかし逆にいうと、脳を上手に使うことによって、神経細胞とシナプス結合の数を増やし、その結果脳の老化を阻止し、記憶力を高め、いつまでも脳を生き生きとした状態で活動させることは全く「可能」なのです。

最新の脳科学の知識や情報を上手に活用して、脳を活性化させ、今よりも記憶力を強化する。そして脳の衰えを防ぎ、認知症を予防することが可能です。

「大人の能力」で勝負する

老化にともなって体力のみならず、脳のほとんどの機能が低下すると思っている人は多いと思いますが、それは完全に間違いです。

歳をとって衰える能力がある一方で、歳をとってから育つ能力があるのです。

棋士の羽生善治日本将棋連盟会長は、その著書『大局観 自分と闘って負けない心』(角川書店)の中で次のように語っています。

「体力や手を読む力は、年齢が若い棋士の方が上だが、『大局観』を使うと『いかに読まないか』の心境になる。将棋ではこの『大局観』が年齢を重ねるごとに強くなり進歩する」

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