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売り上げが50倍に「卵かけご飯」600円のアイデア 愛知県新城市の道の駅「もっくる新城」の戦略

東洋経済オンライン / 2024年2月12日 11時50分

2015年3月に道の駅「もっくる新城」が開業し、駅長としての仕事が始まるも、田原さんの心には引っかかるものがあった。会社や地域にとってプラスになることをなかなか実現することができなかったのだ。

「2016年2月に新東名の新城インターが開通するにあたって、朝、ここでルートの確認をしたり、プランを練ったりするだろうと思って、モーニングサービスをやりたいと思いました。新城は卵の生産量が多く、当時、道の駅でいちばん売れていたのも卵でした。そこで卵かけご飯食べ放題のモーニングを提供すれば注目を集めるだろうと」(田原さん)

ところが、それも会社側は生卵による食中毒のリスクを考えて、NGを出した。それでも田原さんは引き下がらず、加熱して半熟卵にして出すことを提案した。田原さんの熱意に会社側も承諾し、新東名の新城インターの開通に合わせて卵かけご飯モーニングを提供することとなった。それに伴い、開店時間も9時から8時にした。

地元のテレビ局の情報番組や新聞、雑誌に紹介され、朝から多くの客が訪れるようになった。朝9時から11時までの年間売り上げは約30万円だったのが、卵かけご飯モーニングを始めると、50倍の約1500万円まで伸ばした。

「卵の高騰で今では1人3個までにしていますが、それでも行列ができるほどの人気です。卵かけご飯に入れる揚げ玉やきくらげ、メンマなど20種類の具材や、味付けもしょうゆだけではなく塩や味噌も用意して、いろんな味が楽しめるのがウリです」(田原さん)

また、駅内の売店の混雑がピークになる時間帯はこれまで11時だったのが開店時間を早めたことで9時半になり、売り上げも伸びていった。そこで田原さんはオリジナルのお土産物の開発に着手した。まず、最初に発売したのがスープにイノシシの骨を使った「シシラーメン」。1ロットあたり2万食という膨大な注文数に会社の上層部は難色を示したが、1年もかからず完売した。

「新城は同じ東三河の豊橋や蒲郡、田原などと違って、これといった名物がないんです。そこで人気の商品を巨大化して売ろうと考えました。例えば、全長110センチの五平餅とか。多い時で1日20本は売れました。今でも4、5本は出ていると思います。それと、巨大なロールケーキやメロンパンも作りましたね」(田原さん)

巨大グルメも多くのメディアに紹介されたが、それらは新城の名物なのかというジレンマは常にあった。新城の山で狩猟したウサギや山羊、熊、雉などのジビエも秋冬にしか提供することができず、通年用意できる名物がなかったのだ。

目標は全国の銘柄鶏が一堂に会する鶏サミット

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