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売り上げが50倍に「卵かけご飯」600円のアイデア 愛知県新城市の道の駅「もっくる新城」の戦略

東洋経済オンライン / 2024年2月12日 11時50分

コロナ禍の2020年、世の中にはテイクアウトの唐揚げ店が続々とオープンしていた。田原さんもそのブームに乗ろうと、鶏肉の卸業者と頻繁に打ち合わせをしていた。

「ある日、卸業者が見慣れない部位の鶏肉を持ってきました。それが東三河産の錦爽どりの胸肉と手羽元の間にある肩肉でした」(田原さん)

肩肉は水分量が多く、唐揚げにするとジューシーで、煮込んでもパサつかず、しっとりとした食感に仕上がった。調理法を問わず、さまざまな料理に活用できるうえに、1年中提供することも可能。田原さんは“鶏とろ”と名付けて、駅内のフードコートのメニューに取り入れた。

その一つが豚汁ならぬ「鶏汁定食」である。丼に入った鶏汁は鶏とろのほか、ゴボウや大根、ニンジンなど根菜もたっぷり。味付けには愛知県ならではの豆味噌を使っていて、鶏とろや根菜にもしっかりと味が染みている。

鶏汁だけでもご飯のおかずとしてのポテンシャルが高いのに、錦爽どりのチキンカツと半熟卵も付く。専用のタレをかけた半熟卵にチキンカツをくぐらせて食べると本当にうまい。ご飯のおかわりが無料というのも嬉しい。

鶏サミットの開催も夢じゃない

「新城を含む東三河のエリアは養鶏が盛んで、卵を産み終えた親鶏を食べる習慣もあります。そこで鶏とろと親鶏を使った料理で町おこしができないかと考え、2022年11月に『新城鶏学会』を発足させました。鶏とろの料理は道の駅だけで出せばよいという意見も耳にしましたが、地元の活性化があってこそ道の駅にも人が集まるのです」(田原さん)

「新城鶏学会」には市内の飲食店26軒が参加し、「新城市鶏ガイド」というパンフレットも制作した。前出の「新城鶏フェスタ」には5軒が出店した。そのメニューは、鶏とろを使ったカレーパンと味噌カツ、きのこ汁、親鶏を使用した親子丼と豆乳スープ。どれも趣向を凝らしてあり、来場者に好評だったという。

「将来はここ『もっくる新城』で全国の銘柄鶏の料理が楽しめる鶏サミットを開催するのが目標です。そのためには今以上に地元を盛り上げねばなりません」(田原さん)

「新城鶏学会」は、鶏料理による地域活性化が目的であり、料理に使用する鶏肉の銘柄を指定していない。全国各地にある銘柄鶏の普及団体と提携すれば、鶏サミット開催も決して夢ではないだろう。

永谷 正樹:フードライター、フォトグラファー

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