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韓流だけじゃない!「新大久保」知られざる大変貌 エスニックビジネスの激戦区、外国人が集まるワケ

東洋経済オンライン / 2024年2月12日 7時0分

彼ら外国人を商売相手、消費者と見込んでビジネスを展開する日本人も、新大久保には少しずつ出てきている。この分野はまだまだブルーオーシャンなのである。商習慣の違いや言葉の壁から手こずることもあるだろうが、異国にありながらばんばんビジネスを立ち上げ新しいことにトライしていく外国人たちのコシの軽さとエネルギーに、刺激をもらえることは確かだと思う。

ダスさんに「日本人とビジネスをするうえで大事なことは?」と聞くと「時間を守ること」と即答した。街のはんこ屋でちゃんと印鑑もつくっている。

彼のように日本になじみ、経験も長い商人が、新大久保で生きる外国人の1つの典型のように思うが、ダスさんが来日したのは2006年のこと。

「子どものころから日本に興味があったんですよ」

バングラデシュ東部クミッラ出身のダスさんは大学で国文学を専攻する学生だったが、卒業すると日本へ。まずは福岡の日本語学校で言葉を鍛えた。それから東京・吉祥寺にあるビジネス系の専門学校に進学。このときから新大久保で暮らし始めた。

「大久保駅から吉祥寺まで電車で1本だし、新宿でバイトしてたからね」

新宿・紀伊國屋書店の地下にあった「ファーストキッチン」でずっと働いていたそうだ。外国人でも職場が見つけやすい新宿が近いからと、新大久保に暮らす留学生は昔から多い。ダスさんもその1人だった。

卒業後は情報系の大学に入ったのだが、在学中に起業。外国人が会社を立ち上げるには一般的に500万円の出資が必要なのだが、「ファーストキッチン」で稼いだお金と実家からの援助で賄った。住み慣れた街、新大久保に小さなオフィスを構えた。

そしてまず手がけたのが中古の携帯電話やパソコンの販売だったという。日本人の業者から仕入れて、外国人にも日本人にも売る。

「新大久保の駅前でチラシ配ってね。手に取ってくれる人がいたら、話して事務所まで来てもらって」

そんな地道な営業を続け、やがて食品の卸も手がけるようになり、レストランなどさまざまな仕事での経験が、いまのスーパーマーケット経営に活かされている。

成功に必要なのは「お客さんとの付き合い」

この街で成功するために必要なことを尋ねると、「お客さんとの付き合いです」とダスさんは言う。

ふだんからコミュニケーションを取っている人たちが、お客を連れてきてくれる。いろいろな商談も舞い込む。新大久保ではその相手が多国籍というだけで、本質的には下町の商店街なのかもしれない。

「ところで、どこか空いている店舗があったら教えてね」

ダスさんは同じ新大久保住みの僕にも念を押すのを忘れない。まだまだビジネスを拡大させたい。いずれは日本の地方にあるような大型のスーパーマーケットを経営したいのだという。

この街ではダスさんのように野望を抱く異国の商人たちが、抜け目なくビジネスチャンスをうかがっているのである。

室橋 裕和:ライター

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