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ダイソー、「120円ショップ」にはならない深い戦略 都心で大量出店、「300円業態」生みの苦しみ

東洋経済オンライン / 2024年2月13日 7時25分

――アメリカでは「1ドルショップ」に限界が来て、価格帯が柔軟になっています。日本でも値上げは考えませんか?

ダイソーのアメリカ事業では地域によって1.75ドルや1.99ドルに見直している。アメリカでは価格を変えても(売り上げに)影響はなく、ブラジルでも物価変動に合わせて値上げしている。

でも日本では100円から逃げることはない。仕様変更と価格帯を広げる値上げにとどめて、120円ショップになることはない。100円商品の比率が、従来の85%から65%になることはあるかもしれないが。クリティカルラインを守りながら、100円以外の商品については市場の半額以下を基準にそろえている。

――仕様変更で消えていく商品の棚を埋めるのも大変そうです。商品構成で変化は出てきていますか。

消えた商品はたくさんあるが、SKU(商品種類)が7万6000あるから気づかない。バイヤーは約40人。最近は釣りやキャンプ、推し活グッズなどを増やしている。

商品を出すか出さないかの最終決定は現場に任せているが、すぐに既存店売上高に反応するので怖い。バイヤーは努力しながら、いつも勝負している。

100円で売れないものは、半額に値引きしても売れない。私は昔、スーパーでバイヤーをしていた。大創産業に入社した当初は前職の感覚で余った在庫を値引きさせていたが全然ダメだった。ただのゴミ溜めになってしまう。

――国内は、どのくらいの出店余地がありますか? 既存店と競合しないでしょうか。

現在の4360店(うちダイソーは3813店)から、2026年までに5500店まで増やしていく。首都圏や食品スーパー内の出店を考えている。都心部の損益分岐点はかなり高いが、80坪くらいの店を青物横丁(品川区)や人形町(中央区)など(立地を)見極めて出店している。300坪あれば、ダイソーとスタンダードプロダクツのセットで出店できる。

足元の既存店はプラスで推移している。背景には、インバウンドや節約志向といった追い風がある。とはいえ円安対応の値上げが遅れて粗利が下がっているので、今まさに1ドル150円想定で商品の量目変更や価格帯の見直しを進めている。物流費も含め、全体のコストや生産性を徹底的に見直しているところだ。

――2030年までに売上高1兆円目標を掲げています。

アメリカでの成長次第だ。現在の海外売上高比率は7%で、これを30%くらいに広げたい。約315億円を投じて、マレーシアに大型の物流センターを建設中だ。国内も大型物流センターを増やしており、8拠点では足りず昨年7月に神奈川県平塚市に新設した。アメリカの出店が落ち着いてきたら、ヨーロッパへの展開も考えたい。

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