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「ガストに行けない」低賃金にあえぐ介護職の実態 「年収が低く結婚できるのかわからない」

東洋経済オンライン / 2024年2月13日 8時0分

全国労働組合総連合(全労連)による「介護労働実態調査」(2019年)では、介護職の女性の8人に1人がマタニティーハラスメント被害を訴え、妊産婦が免除されるはずの夜勤や当直で4割が免除されなかった。

結果、美幸さんのように正職員では働けなくなり家計が逼迫するケースが後を絶たない。

子育てのため非正規雇用になった小池理恵さん(仮名、41)も、「もともと家計が厳しいのに、物価高でさらに大変です」と日々、節約に余念がない。

理恵さんは関東地方の介護施設で妊娠中や育休明けに夜勤が免除されず心身を壊し、数年前から訪問介護などでパート勤務するようになった。

今はグループホームの夜勤だけ週に1回程度、1回1万5000円で行う。月収は約8万円。病院勤務の看護師の夫の給与は手取り24万〜26万円で、2人の収入では赤字寸前だ。

家族は皆ラーメンが好きだが、物価が上がってからは外食を控えてインスタントラーメンを買って家で作る。

「サッポロ一番 みそラーメン」や「マルちゃん正麺」は1袋5食入りで500円前後するため、地元スーパーで最も安い1袋5食入りで169円のものを買う。

カゴメのケチャップやキユーピーのマヨネーズは買わず、プライベートブランドなどの安いものでいい。カップラーメンは税込み88円の特売日に買い込む。

「子どもにひもじい思いはさせたくない。安いものでもたくさん食べられるようにしています」

子どもの服は、親戚からのお下がりをフル活用。新品を買うときはしまむらに行く。

小さい頃は西松屋の399円のTシャツを重宝した。トレーナーは1着1000円以内で。セールで半額になると大きめのサイズの服を買いだめして、来年に備える。イオンの服売り場やユニクロでは高くて買えない。

「子どもが成長すれば、ランドセル代や制服代など何かとお金がかかります。夜勤をこなしても最大で月20万円程度。それではつらい」(理恵さん)。

「結婚できるのかわからない」

結婚にも影響が出る。

茨城県在住の佐藤祐介さん(仮名、37)は「介護職は結婚が難しい。女性が年収の高い相手を求めたら、どうしようもない」と、苦笑いする。

20代の頃に大手の結婚相談所に入会したが、パーティーの参加費やセミナーの受講費用に都度3000〜5000円かかる負担が重く、1年ほどで退会した。当時、勤めていた特養やグループホームの給与は手取りで月15万〜17万円。目の前の生活で精いっぱいだった。

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