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KDDI、「ローソン5000億出資」に浮かぶ2つの懸念 三菱商事とは"折半出資"、見えづらいリターン

東洋経済オンライン / 2024年2月13日 7時10分

三菱商事の中西勝也社長は、「グループとしても食品デリバリーなどアドオン(機能追加)してきたが、これ以上追加でサポートできることについて悩んでいた」と明かす。そこで、DX(デジタル・トランスフォーメーション)事業を強化している通信大手と組むことを考えたという。

KDDIは提携を通して、ローソンでのオンライン診療、スマホサポートといった新サービスの提供や、店舗を物品配送や防災の拠点にすることなどを想定している。「通信、DXで未来のコンビニを実現していきたい。(ローソンの)グローバル展開にも手伝えることがある」(KDDIの高橋社長)。

50%出資する必要があるのか

しかし、現時点でKDDIが5000億円に見合うリターンを得られるかは不透明だ。提携の内容を詳しく見てみると、2つの懸念点が浮かび上がる。

第1に、既存事業とのシナジー効果が見込めるかだ。

高橋社長は会見の場で、「シナジーとしてKDDIの利益を、というふうにはあまり考えていない」と言及。「(ローソン店舗で)スマホを売りたいと思っているわけでは決してない」とも語り、ローソンの成長を通じてKDDIグループの発展につなげる考え方を強調した。

提携がもたらす業績面へのインパクトや、今後手がける施策の開始時期などについても、明言を避けた。SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストは2月7日付のレポートで、「そう悪くはないTOB」と評価しつつも、「投資額に見合う効果があるのか見通しづらく、50%を取得する必要があるのかもわかりにくい」と指摘している。

KDDIは持ち分法投資利益として、ローソンの純利益(2024年2月期は500億円の予想)の半分を取り込めるようになるが、投資総額で割った年率リターンは5%程度にとどまる。純投資では妙味が薄いと言わざるをえない。

一方、見方を変えれば、KDDIは自身の“経済圏”の弱点を補強したとも言える。

競合キャリアでは、楽天モバイルが「楽天市場」、ソフトバンクが「Yahoo!ショッピング」といったEC(ネット通販)をグループ内に抱える。数兆円規模の流通額を誇るEC上での接点を生かし、顧客の囲い込みにつなげている。

KDDIは「auPAYマーケット」「auPAYふるさと納税」を運営している。これらの流通額は公表していないものの、競合グループのECと比べると劣勢なのは明らかだ。

ただ会見では、ローソンの保有資産や顧客基盤を生かして経済圏の拡大にどうつなげるか、という具体的な話はほとんど出てこなかった。

住商と折半出資したJ:COMとの違い

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