公認会計士が「監査業務から離れる」根本的な原因 中小型銘柄が「監査難民化」の危険に陥る背景
東洋経済オンライン / 2024年2月13日 8時30分
準大手監査法人の筆頭格である太陽監査法人が昨年12月、金融庁から業務改善命令を受けた。太陽監査法人は、指紋認証ユニットメーカーで、東京証券取引所グロース市場に上場していたDDS(2023年8月上場廃止)の監査を担当。その監査に重大な不備があったことが理由だ。
【画像】4大監査法人は中小型銘柄を中心に上場会社監査を縮小している
太陽は近年、監査先を大きく増やしており、急拡大によるひずみが不祥事の原因とされている。4大監査法人が中小型の上場銘柄の監査業務を一斉に縮小し、その受け皿としての役割を担わざるをえなくなったのだ。
上場会社は会計監査をしてくれる監査法人が付かなければ上場廃止になってしまう。太陽は意図して、かつ戦略的に4大監査法人からクライアントを奪ったのではない。4大監査法人から監査契約更新を拒絶され、駆け込んできた上場会社を受け入れたにすぎない。
4大監査法人は中小型銘柄を中心に、2018年頃から上場会社監査を縮小している。ほんの5年ほど前までは全上場会社の7割を4大監査法人が担当していたのに、今や6割を切っている。
4大監査法人が上場会社監査を縮小の背景
それではなぜ4大監査法人は上場会社監査を縮小しているのか。第1の理由は報酬が低いから。日本の4大監査法人は世界4大会計事務所の本部とライセンス契約を結び、巨額のブランド使用料やシステム使用料を本部に支払っている。
一方、日本の監査報酬の水準は欧米に比べて総じて低い。多額の投資に見合わない監査報酬しかとれない監査先から撤退するインセンティブが働きやすい。
第2に、公認会計士に監査業務は不人気で、監査業務の担い手が極端に不足している。故に低採算の中小型銘柄から採算がとれる会社に人員を振り向けざるをえないのだ。
監査業務は「単調でつまらない」と辞める若手
公認会計士は、公認会計士試験に合格し、監査法人などで3年間業務経験を積み、並行して公認会計士協会が実施する実務補修を受け、修了考査に合格すると登録が可能になる。
近年、若手の会計士は資格を取得すると監査法人を辞めてしまう。監査業務は「単調でつまらない」と考える人が少なくないからだ。
実は40代後半を境に、それより上の世代と、それより下の世代では、監査に対する価値観は180度異なる。40代後半よりも上の世代は、「昔は監査業務は面白かった」というのだ。
原因は2003年5月に改正された公認会計士法にほかならない。このときの改正で、監査の独立性の確保がより厳格に求められるようになった。
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