気温上昇で一気に飛散「スギ花粉」今後の状況は? マスク・メガネの予防効果、服選びのポイントも
東洋経済オンライン / 2024年2月14日 6時0分
また、花粉シーズンの服選びのポイントは、素材です。
ウールは綿と比べると、なんと約10倍も花粉がつきやすいのです。花粉がつきにくいのは、表面に凹凸が少ない綿やシルク、ポリエステルなどの化学繊維です。花粉シーズンは、服の素材をしっかりチェックして選びましょう。花粉が髪に付着するのを防ぐために、帽子をかぶるのも有効です。
部屋の換気をするときには、窓を開ける幅を10センチくらいにしてレースカーテンにすると、窓全開のときと比べて、部屋の中に入る花粉の量を約4分の1に減らせます。
ほかにも、外干しした洗濯物や布団を取り込むときに花粉をよく払い落とす、あるいは部屋干しにするなど、細かいことの積み重ねが大切です。
今年の飛散量は例年より多い傾向
花粉の飛散量は、前年の夏の気候が影響します。
ニュースにもなったので記憶にある方も多いかと思いますが、昨年の夏(6〜8月)は、日本の平均気温が1989年以降、夏としては最も高くなりました。
北日本を中心に暖かい空気に覆われ、さらに南から暖気が流れ込みやすかったことが原因です。北日本は、周辺海域の海水温が高かったことも影響して、特に高温となったと考えられます。
昨年の夏の平均気温は北日本、東日本、西日本で、統計史上1位の高温です。平年と比べて、北日本は3.0℃高く、東日本は1.7℃高く、西日本で0.9℃高くなりました。
高温に加えて、日照時間が長く、花芽ができやすい、すなわち花粉が多くなる気象条件でした。
一方、前年に多くの花粉が飛ぶと、翌年は少なくなる傾向があります。
昨年の花粉飛散量は広い範囲で多く、記録的な多さだったところもありました。東京ではスギとヒノキの合計が過去10年平均の約1.5倍でした。
上記の理由から、今年の花粉は例年並みか多く、昨年と比べると少なくなる傾向と予想されています。
ただ、昨年は花粉が少なかった北海道では、昨年より多く飛ぶでしょう。北海道で飛ぶのは、主にシラカバ花粉です。
今年は広い範囲で、例年より花粉シーズンが早く訪れ、例年より花粉飛散量が多くなりそうです。早めに万全な花粉症対策をしてお過ごしください。
出典:環境省の「花粉症環境保健マニュアル2022」
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf
久保井 朝美:キャスター、気象予報士、防災士
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