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大量閉店「イトーヨーカドー」どこで間違えたのか 時代の波についていけず、戦略の変更も遅れた

東洋経済オンライン / 2024年2月14日 9時30分

それに併せて小売店も変化を遂げてきた。特に、2004年にイトーヨーカドーの利益率を抜いて業界トップに躍り出た「イオン」は、「イオンモール」を中心としてロードサイド沿いにイオンモールを展開、全国各地にイオンモールが誕生し、いまやイオンは、我々日本人には欠かせない商業施設となった。

また、いわゆる、1ジャンルの商品に特化した「カテゴリーキラー」と呼ばれる小売店もロードサイド沿いに集中的に出店が相次ぐ。

「ヤマダ電機」をはじめとする家電量販店や、家具の「ニトリ」、アパレルの「ユニクロ」など、ある種類の商品に特化しているために品質は高く、また、値段も安価で手に入ることから、わざわざ駅前にあるイトーヨーカドーに行かなくてもこうした店で顧客のニーズは十分叶えられるようになった。

食品から衣料品、雑貨まで多種多様なものが一つの場所で手に入ることがGMSの強みではあったが、逆にそうした総花的な品揃えが、品質、値段ともにカテゴリーキラー、そしてそうした、カテゴリーキラーを多く有するショッピングモールに負けているわけだ。

こうしてみると、駅前立地のヨーカドーの厳しい状況が見えてくる。

19期連続の増収と好調が続く「ライフ」

一方で、こうした都心の駅前立地を守りつつ、好調なGMSがある。「ライフ」だ。

ライフの業績は好調で、2023年には、実質利益で19期連続の増収を果たしている。中井彰人はその好調の理由を、「主な品揃えを食料品に絞ること」と「関東・関西の二大都市圏に出店を絞る」に求めている(数あるスーパーで「ライフ」が勝ち残った納得理由)。

すでに述べてきたように、衣料品や家電など、GMSが扱う非食料品部門はカテゴリーキラーが強く、GMSにとって弱みとなっている。そのとき、まだ勝ち目のある食料品部門の扱いを大幅に増やすことに舵を切ったのが、ライフであった。

また、出店立地に関していえば、モータリゼーションの影響を地方ほどには受けない、東京・大阪という二大都市圏に集中して出店を行ったことが、ライフの強みとなった。

それによって、モータリゼーションが進み、ロードサイド沿いのショッピングモールやカテゴリーキラーが猛威を振るう時代においても順調に経営を続けることができたのだ。

先ほど見た通り、ヨーカドーもまた、「集中のイトーヨーカドー」と呼ばれるぐらいには、出店地域を絞ってはいた。とはいえ、それはライフほどには徹底されていなかったのである。

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