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大量閉店「イトーヨーカドー」どこで間違えたのか 時代の波についていけず、戦略の変更も遅れた

東洋経済オンライン / 2024年2月14日 9時30分

今回、ヨーカドーが撤退を決めた北海道、そして東北、信越の店舗はまさに、こうしたモータリゼーションの煽りを受けたのであり、その点で「集中」がライフほどにはうまく機能していなかったことがわかるのである。

こう見ていくと、ヨーカドーに足りなかったのは店舗立地戦略の「徹底」だったと思えてくる。

土地のニーズに応えた「ドン・キホーテ」

もう一つ、駅前にも多く店舗を展開して、好調なのがパン・パシフィック・インターナショナルが運営する「ドン・キホーテ」だ。

創業からしばらくはヤンキーたちが集まる怪しげな店、というイメージが強かった同店だが、現在ではユニーをはじめとするさまざまなスーパーを買収して「MEGA ドン・キホーテ」などに変え、32期連続増収を達成している。

ドンキの強みは徹底した「個店主義」で、現場社員に、売り場に関する決定権を与える「権限委譲」を行っている。このやり方で、全国各地、津々浦々でその土地のニーズに見合った店舗空間を誕生させてきた。

実は、ヨーカドーも「新個店主義」を掲げ、「7id」のデータを活用してそれぞれの店舗ごとでの店舗展開を行おうとしている。

しかし、ドンキとヨーカドーではそもそもの社風がまったく異なる。ドンキは創業当時から、創業者の安田隆夫を先頭に、徹底して社員に権限を持たせる社風を築き上げてきた。だからこそ、店舗数が増加した現在でも、「チェーンでありながら、個人経営の商店のようである」というバランスを保っている。

一方、ヨーカドーは一般的なチェーンオペレーションを忠実に守ることで利益を伸ばしてきた。つまり、本部のやり方を全国に増やしていくやり方で店舗を拡大してきた。

本部主導、中央集権的なトップダウンの社風を、いきなり草の根的なボトムアップ型の経営にするのは非常に難しいし、おそらくその方向でいっても、ドンキには勝てないだろう。

ちなみに閉店したイトーヨーカドーの店舗が居抜きでそのままドンキになる例は多く、それもまた、ドンキとイトーヨーカドーの現在の姿を表しているような気がする。

時代の波についていけなかったのが敗因か

イトーヨーカドーの歴史を紐解いていくと、ある段階から時代の波についていけなかったことがわかる。

そして戦略の変更を行おうと思ったときには、時すでに遅し、「個店主義」ではドンキがすでにリードしていたし、ヨーカドーの強みでもあった「集中」でいえばライフのほうが徹底していた。

ある意味で、すべてが中途半端になってしまったのが、現在のイトーヨーカドーの姿なのであろう。

北海道・東北の店舗を閉鎖し、都心店に注力するというのが、今回のイトーヨーカドーの施策である。それはある意味で、下町から出発した、地元密着型のスーパーに先祖帰りするということを意味しているのかもしれない。

今回の記事では、日本の商業の歴史の中でイトーヨーカドーについて、マクロな視点から見てきた。では、実際に都心店を中心にしたとき、ヨーカドーにはどのような「勝ち筋」があるのか。

次の記事では、東京23区にあるイトーヨーカドー全15店を回って見えてきた、ミクロな視点でのイトーヨーカドーの「勝ち筋」について考えてみたい。

(16日19時、編集部追記)後編が公開されました↓

イトーヨーカドー、23区全店訪れて見えた"厳しさ"

谷頭 和希:チェーンストア研究家・ライター

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