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ロレックスが消えた?「時計シェア」の危うい中身 高級時計シェア「トケマッチ」破たんの背景

東洋経済オンライン / 2024年2月14日 13時0分

そこまで悪意ある借り手でなくても、腕につけているときにぶつけて破損したり、水没などで故障させたりする可能性はある。シェア業者は破損や紛失した際の補償はつけているはずで損害相当額の支払いはされるだろうが、モノ自体が戻ってこないこともありうる。思い出のある品や、今では入手困難なモデルだったりすると、お金をもらってそれで納得するというわけにもいかないのだ。

また、貸し出す側のオーナーが、いちいちレンタル相手を選ぶことはしない。時価数百万円もの人気モデルを未知の相手にポンと貸し出すと想像すると、ものすごく怖いことだろう。「トケマッチ」のオーナーも、自分の時計を誰が使っているかは知らされていないと思われ、相手に返却を求めることもできないのだ。買取店に売られている時計があるらしいとの報道があったが、それも「誰かもわからない借り手」が売った可能性もある。二重三重に恐ろしいではないか。

高額品シェアのビジネスはコストがかかる

「トケマッチ」のビジネスモデルが持続できなかった理由は現時点ではわからないが、いくつかネックになる点がある。

シェアサービスというのは基本的にはマッチングのビジネスだ。貸し借りを活発化させるためには、魅力のある貸し出し品の在庫を常時そろえることが不可欠で、いかに人気のあるブランド時計を集められるかが勝負を決めると言っていい。ブランド品を扱う他社のシェアサービスでは、自社でも貸し出し用に商品を購入しているケースもあると聞いた。

しかし数百万円もの時計をサービス業者が複数購入するというのは現実的ではなく、そもそも人気モデルだと市場に在庫がない場合もある。貸し出しの有無にかかわらず魅力的な預託料金を払うことで、数多くの時計を集めようとしたのではないか。

片や、時計を借りる側にしてみれば、借りる際のレンタル料は安いに越したことはない。時計オーナーには高めに預かり金を支払い、借り手には安く貸すのでは、釣り合う利益を確保するのに苦労しそうだ。

また、貸出先でのすり替え対策・紛失や盗難などいざというときの補償の問題だ。「トケマッチ」がそれにどの程度コストをかけていたかはわからないが、希少な高額品になればなるほどおろそかにはできないはずだ。

高級ブランド時計に群がってくるのは善意の人だけでなく、悪意ある第三者が交じっていることも想定しなくてはならない。犯罪対策をしっかりとる必要があり、そのぶんコストもかかる。旅行用トランクや結婚式の礼服を貸すのとはわけが違うのだ。

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