1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

清水建設「女子社員の寝坊で炎上」に潜むギャップ 動画をしっかり見ると印象も変わるが…

東洋経済オンライン / 2024年2月14日 17時30分

取材をきっかけにして世間とのギャップが露呈し、企業の姿勢を問われる事案は珍しくない(写真:zenpaku/PIXTA)

経済ドキュメンタリー番組で紹介された、大手ゼネコン社員の「寝坊」が、SNS上で話題になっている。

【写真】実際の放送の様子

現場監督に任命された若手社員が、寝過ごして会議を欠席。しかし上司に謝罪する前に、朝食をとったことにより、別部署の社員から注意を受ける――。一連の様子がX(旧ツイッター)などに拡散され、安全管理や企業広報の観点から「炎上」しつつある。

テレビ番組の密着取材をきっかけに、企業の姿勢を問われる事案は珍しくない。その背景を考察してみると、ドキュメンタリー番組の特性を知ることと、企業側が「世間とのギャップ」にどれだけ気づいているかが、炎上につながるかどうかの分かれ道となるように思える。

大手ゼネコン社員の「寝坊」でSNSが炎上

いま注目されているのは、2024年1月5日放送の「日経スペシャル ガイアの夜明け」(テレビ東京系)。日本最大級の洋上風力発電所の建設現場で、入社4年目ながら現場監督の1人に任命された、清水建設の女性社員(26歳)への密着取材が特集されていた。

この社員はこれまで本社勤務だったが、初めて現場に配属された。27人いる現場監督の一員として、風車建設のスケジュールや安全を管理する立場だ。そして、世界最大級の洋上風力作業船に約1週間乗り込み、残り2基の風車建設を命じられる。

しかしある朝、早朝の定例会議を欠席してしまう。終了10分後に寝室を出て、「寝坊しました」。食堂で朝食をとってから、事務所へ顔を出した。上司である工事主任は「気をつけてください」と一言のみだったが、広報担当者が代弁する形で「遅刻したら、飯を食う前に上司に謝りに来い」と叱責した。

このシーンは、1時間番組のうち、わずか3分ほど。その後は、工事主任から汚名返上のチャンスを与えられ、予期せぬトラブルに巻き込まれながらも、最終的には完成にこぎ着ける――といった内容で、番組を通して見ると、「若手社員の成長物語」といった印象を残す。

そんな番組が、放送から1カ月半ほどたった2月中旬、炎上の様相を呈し始めた。突如キャプチャー画像がSNS上に拡散されたのだ。安全管理がなにより求められる建設会社において、現場監督の重責を担う人物が寝坊することそのものに加えて、カメラの前で叱責した広報担当者の是非も問われている。切り取られて、文脈がわからなくなった結果だろう。

SNS上では「肝が据わっていて良い」といった好意的な声から、「現場を軽視する姿勢は許せない」「なぜ放送できると判断したのか。内容を確認するべきではないか」といった批判まで、さまざまな反応がうずまいている。

カメラを通すと、どう見えるか

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください