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数千万円を失いかけた80代女性を救った「契約」 老後ひとり暮らしのお金を狙う悪徳業者も

東洋経済オンライン / 2024年2月15日 6時50分

高齢のおひとりさまを狙った悪徳ビジネスに、本人も家族も注意しなければいけません(写真:Fuchsia/PIXTA)

団塊世代が後期高齢者に突入する「2025年問題」が間近に迫り、これから老後ひとり暮らしの人はどんどん増えていきます。

そんな中で、身体や判断力が衰えた高齢者の大事な財産を狙う悪徳業者に、本人も家族も注意しなければならない。そう警鐘を鳴らすのは生前整理や遺品整理で何千軒というひとり暮らしの家を見てきた山村秀炯さん。『老後ひとり暮らしの壁』の中から、一部を抜粋・再編集して紹介します。

数千万円の資産を持った80代女性

私が仕事で出会った「おひとりさま」の話をしましょう。

彼女は80代女性で、生涯独身。定年までずっと働いてきて、結構な資産を形成していました。持ち家もあって、預貯金もかなりの額になっていました。

しかし、80代ともなると身体も衰えてきますし、頭のほうも以前ほどには働かなくなってきます。そのため、ひとり暮らしの高齢者を定期的に見回りしている民生委員さんは「そろそろ施設で暮らすことを考えてみませんか?」などと声かけをするのです。

彼女もまた民生委員さんに言われて、高齢者施設への入居を考えました。そこで、高齢者施設の紹介も行っている私たちが呼ばれたのです。

施設に入るためにはまとまった金額が必要なのですが、彼女の場合はその点は問題になりません。問題になったのは、保証人です。施設に入居するときには、何かあったときの連絡先や保険として身元保証人が必要になります。しかし家族のいない彼女にはそれを頼めるような親しい相手がいませんでした。

そこで私たちを通じて弁護士を頼んだのですが、話を聞くうちにとんでもないことがわかってきました。

前述のように彼女はかなりの資産を持っていたのですが、施設に入るにあたっては、持ち家などの資産を売却して、何千万円もの現金を、信仰している宗教団体にほぼすべて寄付する話になっていたのです。

そればかりではありません。遠縁の親戚も急にしゃしゃり出てきて、持ち家の売却益などの財産の分け前に預かろうとしていました。

彼女は人がいいので、頼まれればほとんどうなずいてしまいます。第三者である私から見ると、年齢のせいで少し判断能力も低下しているように感じられました。

そのため私は彼女を交えて弁護士と相談して、任意後見契約と財産管理契約を使うことにしました。

任意後見契約とは、障害や加齢などによって自分ひとりで物事を決めることが心配になった人に対して、後見人と呼ばれる人が代わりに契約などを行えるようにするものです。もちろん後見人は本人の利益になることしかできませんし、後見人がおかしなことをしないか監督する「後見監督人」と呼ばれる存在がつくこともあります。

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