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数千万円を失いかけた80代女性を救った「契約」 老後ひとり暮らしのお金を狙う悪徳業者も

東洋経済オンライン / 2024年2月15日 6時50分

彼女には弁護士が後見人としてついたことで、施設への入居にあたっての身元保証人の問題もクリアできました。また宗教団体への過大な寄付も阻止することができ、無事、ご本人の財産を守ることができました。

生活資金が奪われるリスク

もし、宗教団体や遠縁の親戚に言われるがままに財産を分与していたら、施設への入居も、入居してから亡くなるまでの生活の保証も危うくなっていたかもしれません。

人間はいつか必ず亡くなるのですが、そのときに財産が残っていると、分け前に預かろうと有象無象のやからが湧いて出てくることがあります。ご本人は嫌がっていなかったので、それはそれでいいのかもしれませんが、いつ亡くなると決まっているわけでもないので、手元不如意になるほどに財産が減らされてしまっては困ります。

特に、このケースのように認知症の診断を受けているわけでもなく、お身体にも問題がなくて要介護になっていないケースでは、信頼して相談できる人が身近にいないままに、騙されてお金をむしられることがよくあります。

せっかく老後の生活資金を貯めていても、それを奪われてしまっては何にもなりません。自分は大丈夫と思っていても、80代・90代ともなると認知能力、判断能力、意思決定力などは徐々に衰えてくるもの。そのときに頼れる相手もいないままでいると、思わぬトラブルに巻き込まれてしまうのです。

彼女が任意後見契約をあらかじめ結んでいれば、家庭裁判所に申し立てて、後見契約を発動させて止めることもできるのですが、もちろんそんな契約はどこにもありませんでした。

困った私が、どうにかなりませんかと弁護士に相談したところ、先に財産管理委任契約を結べば防波堤になるとアドバイスをいただけました。そこで、弁護士を彼女の財産管理者とすることで、ようやく資産の流出を防ぐことができたのです。

この件も含めて私がよくお世話になっている弁護士法人・森戸法律事務所の森戸尉之弁護士に、任意後見契約や財産管理委任契約の注意点について聞いてみました。

恐ろしいのは、財産管理委任契約も任意後見契約も、やりようによっては契約した相手の財産を勝手に使えてしまうこと。信頼できない相手と契約してしまうとたいへんなことになります。

森戸弁護士が経験したケースを紹介しましょう(守秘義務があるので事実関係を多少変更して記載します)。

その男性は、とある身元保証会社と財産管理契約していて、その会社の紹介で施設に入居しているおひとりさまでした。

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