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「敵に塩を送る」行為が"メリット"に働く意外な訳 大学受験を目前に控えた高校3年で学んだこと

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 6時50分

日本人には、「敵に塩を送る」(ライバルの弱みにつけ込まず、その苦境から救おうとする行為)を極端に気嫌いする人がいますが、どんな場合であっても、人に優しくしたほうが、いい結果が出るものです。

私がそれを学んだのは、大学受験を目前に控えた高校3年のときです。

私は兵庫・神戸市にある灘高に通っていたのですが、当時の灘高は東大合格者数で全国トップを走っており、世間から、「灘高生は性格が悪い」などと言われていたような時代です。

性格が悪いかどうかはわかりませんが、同級生の多くは同じ東大を目指すライバルですから、お互いが競争心を持っていたことは間違いありません。

高校1~2年生の頃はいじめもケンカも多くありましたが、受験まで1年を切った高校3年生になると、不思議なほど、みんなが仲良くなったのです。

普通であれば、お互いの競争が激化する時期ですが、東大合格者数のトップをみんなで守ろうというムードが一気に高まって、全員で協力して受験に臨むような雰囲気ができあがりました。

いい参考書が見つかったら、みんなで教え合うとか、できないヤツがいたら、できるヤツが教えてあげるなど、団体競技のような雰囲気に包まれながら、受験勉強に取り組むことができたのです。

お互いに助け合ったほうがパフォーマンスが上がり、足の引っ張り合いはパフォーマンスを下げることになります。

ギスギスした受験競争を1人で勝ち抜いてきた人ほど、人に冷たくする傾向があるようですが、助け合ったほうがうまくいくことを経験として知っている人は、自然と人に優しくなれます。私にとっては、受験勉強以上に学びになった貴重な経験だと思っています。

優しくしないと、最後にツケが…

最近では、長生きをするとか、健康になるためには「我慢」をするのが当たり前と考えられていますが、私はそうした考え方も、人に優しくなれない原因だと思っています。

自分にムリをして我慢の生活を続けるよりも、気分が良くなるような生き方をしたほうが、がんにならずに長生きができるかもしれません。

結果的に長生きできなかったとしても、いい人とか、優しい人として過ごす時間が長いほうが、人間にとっては幸せなことなのではないでしょうか?

私は高齢者専門の精神科医をしていますが、人に優しくしていないと、最後にそのツケが回ってくるのだな……と思える光景を何度も目にしています。

昔は大臣だったとか、社長だったという人でも、見舞い客がたくさん来る人と、まったく来ない人がいます。社会的地位やお金のあるなしが関係ない状態になったとき、その人の人間的な魅力がリアルに問われることになります。

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