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医師が「がん患者」になってわかった頼れる情報源 科学的根拠のない話に惑わされないために

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 6時55分

実際、私が診ている患者さんのなかにも、偏った食事療法を信じてしまい、体調を崩してしまった方など、さまざまな方がいらっしゃいました。

糖質ががん細胞を増殖させるので、断食をしたらがんは死滅するという情報を信じてしまい、患者さん自身が衰弱してしまった人。四つ足の動物を食べるとよくないという情報を信じて、牛肉や豚肉を一切食べず、ずっと味気ない食生活を続けて抑うつになってしまった人。例を出したらキリがありませんが、怪しい情報に騙されて、かえって体調を崩してしまっては、がんとうまく付き合って生きていけるわけがありません。

患者さんだけではありません。ご家族がなんとか患者さんの病気をよくしたいと思って、根拠のない健康食品や生活習慣を患者さんに勧めてしまうこともあります。その結果、残念なことに最終的に健康に害が出て、命を縮めることになってしまうような方もいらっしゃるのです。

ただ、怪しい情報を伝えてくる人たちというのは、その大半は悪気があってではなく、よかれと思って自身が信じていることを伝えてくれているようです。だから、タチが悪いとも言えます。

がんは生死に関わる病気だからこそ、主治医からの情報や後述する情報サイトを信じるのが基本の姿勢として望ましいです。それ以外の怪しい情報を伝えてきた友人には、その気持ちだけお礼を伝えてやり過ごすのが吉です。

がんに関する正しい情報を得る方法

がん患者さんが不安を抱える最大の原因は、先々の見通しがよくわからないことだと考えられます。ですから患者さんが知るべき情報は、治療内容と合併症、そして これからどうなっていくかということです。私が強くお勧めするのは、国立がん研究センターの「がん情報サービス」です。

こちらに記載されている多くの正しい情報は、漠然とした不安を解消し、これから歩んでいく方角を灯してくれる道標となってくれます。

例えば、日本人に多いがんのひとつである、大腸がんの手術を終えたあとについての記載を見てみましょう。 手術後の再発を防ぐ目的で、それなりに進行していたことを示すステージⅢであった患者さん、またはステージⅡでも再発の可能性が高いと考えられた患者さんの場合に、補助化学療法(抗がん剤治療)を行うことが推奨されていると記載されています。

これは抗がん剤を内服または点滴、もしくはその併用で行うもので、3〜 6カ月行うことが一般的とされています。

逆にこれより進行していない場合は、術後の補助治療は不要であるということです。手術の前にどれくらいのステージであるか予想はされているので、術後の治療 についてもイメージはしやすいでしょう。抗がん剤についても、使用する薬剤によって副作用は異なりますが、脱毛や吐き気、手先の痺れなどに注意が必要であるといった情報まで網羅されています。

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