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医師が「がん患者」になってわかった頼れる情報源 科学的根拠のない話に惑わされないために

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 6時55分

もちろん、つらい情報が含まれることもあり、その情報をどう解釈すべきかについては、主治医に相談することが大切です。

緩和ケア医はどのように「がん情報サービス」を利用したのか?

私も甲状腺がんと診断されたときも、「がん情報サービス」にアクセスして、甲状腺乳頭がんの項目を熟読しました。私がとても気になっていたのは、甲状腺をすべて切除するのかどうかでした。

診てくれた医師からはおそらくすべて切除することになると言われていましたが、できれば 少しでも残せたらいいなという期待を持っていました。 というのも、甲状腺は甲状腺ホルモンをつくる大切な臓器であり、これがすべて切除されてなくなってしまうと、チラーヂンという甲状腺ホルモンの薬を飲んで補充しなければならなくなるからです。

甲状腺ホルモンをつくる機能は回復することはないので、一生飲み続ける必要があるでしょう。そのため、「できれば避けたいな……」 と思っていたのです(残念ながら結果は、全摘でした)。

がん情報サービスのサイトの内容では、手術の合併症の記載も役立ったと実感しています。合併症というのは、手術のミスではなく、どうしても手術する過程で生じてしまうやむを得ないものです。

甲状腺の横には副甲状腺というさらに小さな臓器があるのですが、例えば、ここが一緒に取れてしまう合併症に関する記載がありました。副甲状腺はカルシウムというミネラルの成分に関連する大切な部位のため、取れてしまうと術後にテタニーと呼ばれる低カルシウム血症の症状で痺れなどが出ることがあるとわかりました。実際、術後に低カルシウム血症にならないように、薬を飲むことになって、このときに情報を確認してよかったと思っています。

そして私が甲状腺がんの項目で最も気になったのが、術後に生じるかもしれないと記載のあった、反回神経麻痺でした。甲状腺の近くには、反回神経という発声や物の飲み込みに関わる神経が走っています。

手術でどうしてもこの神経が傷つくことがあり、そうなると声を出しにくくなったり、飲食でムセやすくなったりする合併症が生じるのです。こちらも事前に情報をチェックしていたことで診察のときに主治医の先生に気になる点を念入りに確認できました。

科学的根拠に基づいたものだけが記載されている

私はこういった情報をがん情報サービスで得ることで、想定される治療期間を理解でき、仕事をどれくらい休めばよいのかといった準備がしやすくなりました。また、治療後に生じる合併症などの情報により、生活への影響もイメージすることができ、正しい情報が身を助けてくれたと実感しています。

がん情報サービスにはあらゆる種類のがんに関して、患者さんが知っておくべき基本的な情報が網羅されています。こちらの内容はすべて科学的根拠に基づいたものだけが記載されており、基本的には誤りはありません。

まずは、すべての患者さんがこちらの情報を確認するべきだと、私の経験則から強くお伝えしたいです。

廣橋 猛:永寿総合病院がん診療支援・緩和ケアセンター長、緩和ケア病棟長

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