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「アリババからシフト」孫正義氏とマー氏の関係 巨大企業の経営者が共に歩んできた道のり

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 7時50分

ビジョン・ファンドで巨額の赤字を出し、虎の子だったアリババ株の売却を迫られたSBGは孫氏の後継者候補が浮かんでは消え、孫氏自ら経営のタクトを振り続ける。

一方マー氏は早くから後継者育成に取り組み、すっぱりと引退したが、当局の圧力や競合の台頭など複数の逆風でアリババの経営が混迷する中で、社内のチャットで時折発言するようになるなど、再び会社との距離が近づいている。

マー氏は孫氏を5分で落とした

孫氏とマー氏の物語は25年前に幕を開けた。その物語はツァイ氏がいなければ始まらなかった。

マー氏の自宅兼事務所だったアパートの一室でアリババが誕生したのは1999年3月。数カ月後に金融街のエリートだったツァイ氏がジョインし、9月に会社として登記した。

アリババはそれまで40回近く出資を断られていたが、ツァイ氏の旧友を通じ同年10月にゴールドマン・サックス(GS)などから500万ドル(約7億5000万円)の出資を受けた。

「GSが出資したベンチャー企業」のブランドを得たアリババは、アメリカのインターネットバブルの陰りを察知して、市場の黎明期にあった中国の有望企業を探していた孫氏の目に留まることとなった。

孫氏はマー氏と会って投資を即決した。1995年に出資したアメリカ・ヤフーとアリババが後に世界的なIT企業に成長したことで孫氏の名声は大きく高まり、「マーが孫正義を5分で落とした」(中国では6分と言われている)逸話も多くの人が知るところとなった。

孫氏は2019年12月に東京大学で行われたマー氏との対談において、「投資を決めたのは(5分ではなく)10分だったかもしれない」と当時を振り返った。

孫氏によると、投資候補の20社が10分ずつプレゼンし、半分ほどが終わったところでマーの出番がやってきた。

「ジャックはお金は必要ないと言うし、ビジネスモデルもなかった。ほかの人たちはビジネスモデル、お金のこと、自分たちの事業について語っていたが、ジャックは、哲学について語った」

ジャックは横から、「実はその直前に(GSから)500万ドルを調達していて、お金は必要ないと思ったんだ」と補足した。

初対面の席では、マー氏が5分ほど話を続けたところで孫氏が遮り、「わかった、お金を出す」「いくら必要か」と語りかけた。同氏は「変な人だなあ」と思ったという。GSから500万ドルの投資を受け満足していたマー氏は、孫氏に5000万ドルを出資すると言われて驚き、「10分の1でいい」と答えたという。

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