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クックパッド、決算資料からポエムが消えた哀愁 続く業績下降のなか、資料も65%ものカロリーオフ?

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 18時30分

●連結売上収益の上昇、27期連続増収の達成

●マーケティング効率、オペレーション効率の上昇

●主要KPIの達成

などが列記される。

なお、私は楽天グループが数字を偽っているといいたいわけではない。数字は事実だろう。しかし、これをいかに表現するかが徹底的にうまい。そしてこれはMBAをこえた、一つのベストプラクティスとしてさんさんと輝いている。

以降も、これは皮肉ではなく、決算結果はさほど芳しくないはずなのに、絶好調としか思えないグラフが続く。これは令和の楽天文法である。グラフを工夫し、いかに対外発表で利用するかのきわめて高度な学習教材になっている。

繰り返すが、これは皮肉ではない。楽天の経営幹部は優秀な方々が集まっているが、その頭脳をフルに発揮した、見事な決算資料となっている。刮目せよ。

ニュース②クックパッド独自ポエムの哀愁

クックパッドは同じく2023年12月期の決算を発表した。結果は次のとおりだった。

●売上収益:76億円

●営業利益(損失):▲27億円

これも前期の営業利益(損失)は▲35億円だから改善しているとはいえる。

しかし、この売上収益にたいして、この営業損失だから厳しさは変わらない。またキャッシュリッチと思われている同社だが、現金は前期の168億円から120億円にかなりの減少を見せている。

おそらく、多重な要因がある。

●クックパッドに頼ることなく、インスタ・YouTube・TikTokなど無数のチャネルで調理動画を確認できるようになったこと

●コロナ明けで在宅による調理をする機会が減り、外出する機会が増えたこと

●カリスマの調理師が多く登場し、特定のサイトに調理方法を依存する機会が減ったこと

●レシピ自体が収益に直結しなくなったこと

さまざまな原因が重なっているだろう。現実的に、読者のまわりにも、クックパッドを活用しているケースが減っているに違いない。実際に、私の家族も見る機会が激減している。

しかし、もっと注目したいのはクックパッド流のポエムが決算説明資料から消滅してしまった点だ。たとえば、前期(2022年12月期決算説明会資料)の資料はかなり読ませる。

「世界中のすべての家庭において、毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する。」(【定款第2条2項】)と高らかに謳い、さらに資料の1頁まるまる独占している。しかも、「当会社は、『毎日の料理を楽しみにする』ために存在し、これをミッションとする。」などと、大胆なレイアウトの記述が続き、「Our vision」と称した理念の頁も多い。

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