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サッポロ社長「3Dは買収家のスティールと違う」 独占取材に「ビール特化方針」の理由を語る

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 21時30分

この30年はデフレで金利も安かったが、これから金利が上昇したときに3000億円、4000億円と借金をしたら金利負担だけで大変だ。ビールでもう一度勝負しようとなったら、どういう体制になるべきか。いろいろな選択肢をトータルで考えるようになった。

松風 これまでの経営が意識していたのは損益計算書の数字が中心だった。それをバランスシートを意識した経営にしようと変えてきた。不動産と酒類、食品・飲料それぞれのバランスシートは違う。グループ内でどうリソースを配分するのか、これまで議論を重ねてきた。

──不動産事業を非連結化して、バランスシートから外すのですか。

まだ具体的には考えていない。これからスキームを含めて検討していく。外部資本を入れることもあると思う。

今までも不動産はバリューアップしてから、必要に応じて物件を売却している。今回の方針ではバランスシートを改善することと、成長投資にフレキシビリティを持たせることが目的。不動産については範囲を限定せずに検討したい。もっとも大事なことは、酒類事業をどう成長させるかだ。

──恵比寿ガーデンプレイスを売却するかも?

尾賀 それはしないと思う。サッポロブランドとの接点を失うことはしない。北海道のサッポロビール園のレンガの建物を売ることがありえないように、われわれの中にはありえないことがある。

低収益には理由があった

──20年以上も前から、不動産事業と酒類事業のシナジーは疑問視されてきました。ここにきて決断したのはなぜですか。

外部環境が大きく変わった。発泡酒や新ジャンルの味がおいしくなり、ビールよりも安い商品に消費者が手を伸ばした。家庭で飲まれる半分以上が新ジャンルとなった。

また、キリンビールとアサヒビールのシェア争いで値下げをされて厳しかった。1本10円の値下げで年間数十億円(のもうけ)が吹き飛ぶ。それでも、うちの商品だけ高いままではいられない。低収益と指摘されたことは事実だが、そうなる理由があった。

しかし環境は変わり、(酒税改正の影響で)完全にビールに回帰している流れがある。もう一度、力を入れることができるタイミングだ。

──収益を安定的に下支えする不動産事業に、これまで甘えてきたという指摘もあります。

「サッポロビル」だとか言われました。当時は3つの事業が併存し、成り立つことを目指してきた。でも事業ごとに波がある。お互いに助け合った時期もある。この構造がこれからも成り立つのか。

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