ドミノピザ「鼻ほじ」バイトテロ騒動から得る教訓 バイトに倫理観を求めるのが間違っているのか…?
東洋経済オンライン / 2024年2月16日 19時0分
そういえば筆者は2023年6月、スシローが損害賠償(後に取り下げて和解)を求めたという報道を受け、当サイト(東洋経済オンライン)に寄稿したコラム「スシロー、賠償請求も『非常識少年』また出る必然」で、このように予測していた。
「一時的に迷惑行為は消えるかもしれないが、数年も経てば『SNS空間の住人』は入れ替わる。単に『調味料のボトルをなめたら、数千万円も請求されちゃうんだ!』と印象づけたところで、『なぜダメなのか』が血肉になっていない人々がいる限り、根っこにあるものも変わらないのだ」
結果としては、「数年」が過ぎる前に、衛生面でのトラブルが再発している。
ひとつの理由として考えられるのは、不祥事の忘却サイクルが早まっている可能性だ。SNSのタイムライン上では、日々話題が消費されている。数カ月前のことですら、言われて初めて「そんなことあったね」と思い出すほど。倫理観ですらもカジュアルな位置づけになっているおそれはある。
もうひとつは、続報が伝えられないことで「どれだけ損害を与えても、代償を払わなくていいのでは」という認識が広がっている可能性だ。客テロの個別事案は認識していても、結局どうなったのかが伝わっていなければ、社会的責任を負わなくてもよいと錯覚してもおかしくない。
とはいっても、手ぶらで来店できる「客テロ」と、雇用契約を交わす「バイトテロ」では、実際に不適切事案を行い、SNS投稿するまでのハードルは異なるはずだ。なにか別の理由もあるのではないか。
バイトテロと聞いて思い出すのは、2013年頃の「前回ブーム」だ。コンビニの冷蔵ケースに横たわってみたり、そば屋の食洗機に身体を突っ込んでみたり。ドミノと同じ宅配ピザ業界に限ってみても、「ピザハット」で顔をピザ生地で覆ったアルバイト従業員が問題視され、謝罪している。こちらも閉店後の廃棄食材が使われていた。
これらの事案が起きたのは、約10年前のことだ。当時の経験から、とくに大手企業の危機意識は増したのではなかろうか。昨今のコンプライアンス意識の高まりも考えると、それなりの規模の会社であれば、マニュアルや研修にSNS関連の項目を盛り込んでいるはずだ。
こうした教材が、そもそも未成熟だったり、更新頻度が少なく時代に追いつかなかったりする可能性はある。また、従業員側の忠誠心や責任感の薄れなども、背景としてはありそうだ。
マニュアルを強化しても、防げる事案なのか?
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