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初代「プリメーラ」欧州的クルマづくりの衝撃 欧州COTY2位にも輝いた1990年代日産の意欲作

東洋経済オンライン / 2024年2月17日 11時30分

1990年2月「快適性と走行性能を高次元で両立させたコンフォート・パッケージセダン」をうたい発売された(写真:日産自動車)

高性能とかグッドデザインで記憶に残るクルマは多い。そこにあって、1990年に日産自動車が発売した「プリメーラ」は、控えめなスタイリングと、まっとうなエンジニアリングで印象深いという、例外的な1台だ。

【写真】今もクルマ好きの胸を熱くする初代プリメーラのスタイリング

1989年の東京モーターショーで「プリメーラX(エックス)」なる名前でもってコンセプトモデルが発表され、翌年に量産車が発売された流れは、私の記憶に鮮烈に残っている。

20~30年以上経った今でも語り継がれるクルマが、続々と自動車メーカーから投入された1990年代。その頃の熱気をつくったクルマたちがそれぞれ生まれた歴史や今に何を残したかの意味を「東洋経済オンライン自動車最前線」の書き手たちが連ねていく。

コンセプトモデルとは似ていないけれど

印象に残っていた理由は、「2台はあんまり似てないなぁ」というものだったから。ショーに出展されたコンセプトモデルは、ものすごいボリューム感のハイデッキとロングテールが印象的。なめらかさが強調されたボディはウインドウとの段差もなく、空力実験車然としていた。

インテリアも有機的なフォルムのダッシュボードと小さな計器類の組み合わせが、たいへん斬新。バランスがとれたプロポーションでなく、いってみれば異形。目的は「新しいクルマが出る」という印象を与えることだったのだろうと思う。

しかし、量産型プリメーラは、「同じクルマですか?」と思わず言ってしまったほど、まっとうなデザインだった。前輪駆動の使い勝手のいいセダンのお手本のようなパッケージである。

実際にプリメーラは、実直さを絵に描いたような機能主義的デザインの3代目「オースター」の後継モデルとして企画された。英国工場で生産されることも共通点だった。

とはいえ、質感の高さはオースターより格段に上がっていた。プリメーラXでは強調しすぎの感があったが、トランクが厚いハイデッキの機能的ボディでありつつ、ボディとウインドウの段差を極力なくしたフラッシュサーフェス化が図られているのも特徴的。

インテリアも、デザインはおもしろくないけれど、作りはよい。合成樹脂のパーツの組み付け精度は高いし、シースルータイプのヘッドレストレイント(ヘッドレスト)を備えたファブリック張りのシートも設計がよく、長時間座っていても疲れにくかった。

見惚れるようなスタイリングではないものの、日常的に使うパートナーとして高い点数をあげたくなる出来映えで、ヨーロッパ市場向けだと、実務的なクルマ作りをするんだなぁと感心したものだ。その意味では輸入車感もあった。

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