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「オードリー」東京ドーム公演に導いた若林の異能 大成功しても残る、売れなかった頃のくすぶり感

東洋経済オンライン / 2024年2月17日 12時20分

若林は進行役として器用に番組を回していたし、披露するエピソードもひとつひとつが面白かった。でも、器用で面白いだけの芸人ならほかにいくらでもいる。このときの彼には、もっと別次元の飛び抜けた魅力があった。

それを言葉にするのは難しいが、あえて言うなら「ポップにやさぐれている」という感じだろうか。そこに強くひきつけられた。

この時期に私が見ていたのは、ずっと売れなくてくすぶっていて、何かにつけてあれこれ思い悩んで陰鬱な表情を浮かべている若林の姿だ。未来に希望も持てず、余計なことばかり考えて、売れることを半ばあきらめているような言動を繰り返す。

でも、決して投げやりではなく、聞いていられないほどネチネチとグチっぽいわけでもない。その語り口や態度に人をひきつけて離さない魅力があった。自分と同世代ということもあり、若林には親近感を覚えていた。

『オードリーのオールナイトニッポン』では、そんな若林の「ポップなやさぐれ芸」を存分に味わうことができた。テレビに出まくって多忙な日々を過ごす中で、彼はそこで当たり前とされている慣習にいちいち違和感を覚えて、戸惑ったり絶望したりしていた。ラジオではそんな鬱屈した感情を解き放って、本音に近いことを語っていた。

しかも、ただ真面目に語るだけではなく、最終的にはそれを面白い話として味付けすることも忘れてはいなかった。そこが何よりも魅力的だった。

『オードリーのオールナイトニッポン』は開始当初から人気はあったが、少しずつ熱心なリスナーを増やしていき、右肩上がりに人気を伸ばしていった。番組イベントの規模もどんどん大きくなっていき、ついに東京ドームにまで至った。

オードリーがキャリアを重ねるにつれて、若林はタレントとしても人間としても大きく成長した。いまや人気も実力も安定してきたと言っていい。だが、若林特有の「ポップにやさぐれている」という感じは、根底の部分ではまだ消えていないように見える。

山里亮太は若林をどう見ている?

日本テレビの『たりないふたり』シリーズで若林と共演していた山里亮太と、同番組の演出を務めた安島隆は、2013年時点の対談の中でこう語っていた。

山里:この若林くんの本(『社会人大学人見知り学部 卒業見込』)を読むと、少しずつ社会人らしくなっていってると本人は思ってるみたいですが、それは大間違いですよ! たとえば、相手を気遣って言葉を選ぶようになったといっても、こぼれ落ちてますからね。

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