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日本人が知らない「激安お酒」のヤバすぎる裏側 「合成酒」「醸造アルコール」の中身は…?

東洋経済オンライン / 2024年2月17日 12時0分

これを製造の過程で添加すれば「カサ増し」ができるのです。

もちろん無制限に添加していいというわけではなく、「本醸造酒」の場合は主原料の白米1トンに対し、120リットル以内と制限されています。

「醸造アルコール」を添加した酒は「普通酒」「一般清酒」とも呼ばれます。私たち業界人は「アル添(酒)」などと呼んでいます。

今、日本酒で最も多く出回っているのが、この「アル添酒」です。みなさんもご自宅にある酒のラベルを見てみてください。

見分け方としては、原材料に「醸造アルコール」と書かれているのですぐにわかります。

【「清酒」(アル添酒)の原材料例】
米、米麹、醸造アルコール、糖類、酸味料

ちなみに、純米酒の原材料表示は「米、米麹」だけとなっているはずです。

「醸造アルコール」については「日本人が知らない『激安のお酢』のヤバすぎる裏側」にも書いているので、興味のある方は参照してみてください。

この「醸造アルコール」を使えば、「1本の純米酒」から「3本の酒」を作り上げることも簡単です。これが「3倍増」という作り方で、作り方は以下の通りです。

「1本の純米酒」から「3本の酒」ができるカラクリ

まず純米酒1本を用意します。

純米酒のアルコール度数が15%とすると、「醸造アルコール」を水で薄め、同じ15%にします。これを2本分加えれば、1本から3本の日本酒が出来上がるというわけです。

当然ですが、このままでは純米酒特有の味も風味も薄くなってしまいます。そこで「いろいろなもの」を添加して、味を調えます。

「糖類」(ブドウ糖、水あめ)で甘みを出し、「酸味料」(乳酸やコハク酸など)でさわやかな酸味を、「アミノ酸」(グリシン、アラニンなど)でうま味を加えるといった具合です。

この薄め方ですが、「出来上がった日本酒」を「醸造アルコール」で増量し薄めている、と思っている人もいますが、そうではなく、製造工程の中の「もろみ」の段階で増量します。そうしないと味が調わないからです。

この「3倍増方式」も、ただ糖類や添加物を入れればいいというものではなく、日本酒の繊細な味を作り出すためには、結構な技術がいるのです。

私も食品専門商社で商品開発をしていたときは「アル添酒」をよく開発したものでした。自分が飲ん兵衛ですから、それはそれは上手な「アル添酒」を作り上げたものです(笑)。

このあたりのことは『食品の裏側』でも述べているので、参考にしていただければと思います。

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