元祖トクホ茶「ヘルシア」、キリン移籍でどう変わる 21年目の老舗ブランド、花王の構造改革で売却
東洋経済オンライン / 2024年2月17日 7時30分
花王は2019年度まで7期連続の営業最高益を更新していたが一転、2020年度から4期連続減益と苦しい状況に置かれている。2019年度に2117億円あった営業利益は、2022年度に1100億円まで縮小。原材料高騰による主力の衣料用洗剤の採算悪化や、インバウンド需要の剥落で紙おむつの販売数量が激減するなどの要因が重なった。
2023年度は構造改革費用として547億円を計上した影響で、営業利益は前期比45.5%減の600億円で着地した。業績の立て直しに向けて、早期退職などの人材関連費用で150億円計上したほか、昨年8月に紙おむつ「メリーズ」の中国生産撤退を発表。中価格帯メイク「オーブ」は今年8月末に販売終了と、人員体制や事業、ブランドの再構築を進めている最中だ。今回のヘルシアも構造改革の一環となる。
花王の看板がなくなるヘルシアは今後、どうなるのか。キリンは今回の買収によって「ヘルスサイエンス(健康関連)領域の強化・拡大をさらに進め、高収益化を目指す」と狙いを語る。
キリンの緑茶ブランド「生茶」は2023年に2780万ケース(出荷ベース)を売り上げたが、緑茶市場でシェアは長年4位。伊藤園「お~いお茶」、サントリー「伊右衛門」、コカ・コーラ「綾鷹」の後塵を拝す。飲料市場全体では、2022年のキリンビバレッジのシェアは5位となっている(いずれも飲料総研調べ)。
国内の人口減で飲料市場の大きな成長が望めない中、キリンは商品の付加価値化で単価上昇を進めている。2019年には免疫維持のサポートをうたう独自素材「プラズマ乳酸菌」を主力に据えた「ヘルスサイエンス」事業がグループ横断で立ち上がり、キリンビバレッジが牽引してきた。
「iMUSE(イミューズ)」や「おいしい免疫ケア」、プラズマ乳酸菌入り生茶の商品などを続々と発売しており、機能性表示食品はキリンビバレッジで11商品、グループ全体で36商品にのぼる(2023年12月末時点)。2024年度にはヘルスサイエンスを黒字化させる計画を掲げる。
2022年から2社でコラボしていた
これまでキリンは「免疫」を強く押し出してきたが、ヘルシア買収で「内臓脂肪」への効果もうたうことができるようになる。「大きな社会課題である“体脂肪・内臓脂肪”領域へチャレンジしていく」(キリン)と意欲的だ。茶系飲料の中で高価格帯に位置するヘルシアブランドは、キリンの戦略とも合致する。
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