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佐藤二朗さん公表「強迫性障害」の人が抱える苦悩 SNSで「沢山の励まし、ありがとう」と感謝つづる

東洋経済オンライン / 2024年2月17日 11時40分

発症のきっかけについては、本人がはっきりと覚えている場合と、そうでない場合があるようだ。

「患者さんのなかには、ベランダで布団を干していたら鳩にふんをされ、そこから『自分は鳩のふんで病気になるんじゃないか』という不安が頭から離れなくなったと話す人もいますし、なんとなく汚いのが嫌になってきて、気がついたら手洗いばかりするようになっていましたと話す人もいます」(清水さん)

心の病気は脳の病気という考え方がある。では、強迫性障害の人は、脳にどんな問題が生じているのだろうか。

脳の回路の機能の問題

「強迫性障害は、脳腫瘍や脳卒中のように脳画像検査で異常を指摘できる病気とは違い、『脳の回路の機能の問題』として捉えます」と清水さん。

まだわかっていないことも多いそうだが、徐々に原因も解明されてきている。その1つが前頭葉を含めた脳の回路の問題だ。

前頭葉は、私たちが日々、自分の行動を決定するなどの高度な働きを持っている。ところが、強迫性障害では脳の回路が儀式的な繰り返しをやめられなくなってしまう。

さらに、不安や恐怖に関係する神経伝達物質セロトニンの減少や、喜びの報酬予測に関係するドーパミンのアンバランスが関係しているともいわれている。

患者本人がつらいだけでなく、病気の影響が家族にまで及ぶことがある。

例えば、家族に、自身の不安に対して「『大丈夫』と言ってほしい」と繰り返し保証を求めたり、自分の強迫行動を手伝うように強制したりする。これを「巻き込み」という。

「強迫性障害の患者さんは、『洞察が乏しい(病識が不十分)』といった言い方をするのですが、強迫行為をやって当然、やるべきことという正当性に固執するあまり、周囲にも同じことをさせていることが少なくないのです」(清水さん)

こうした巻き込みは、職場や学校では起こりにくく、割と自制できている。そのぶんストレスが家族に跳ね返ってきやすいのだという。それゆえ、「巻き込まれる家族への影響、負担感は大きく、その支援も必要です」(清水さん)という。

医療機関を受診する多くの人は、本人が強迫症状によって日常機能に支障が出て困っている場合だが、家族が困って専門の機関に相談に来る場合もあるそうだ。

治療は抗うつ薬と認知行動療法

では、精神科ではどのような診療が行われるのか。

「診断では、まず強迫観念や強迫行為があるか、その程度はどうか、いつから始まったかなどを、問診や『Y-BOCS(エールブラウン強迫観念・強迫行為評価スケール)』で明らかにしていきます」と清水さん。

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