4月に日銀が利上げをすると一体どうなるのか いよいよ金融政策の転換のときが迫ってきた
東洋経済オンライン / 2024年2月17日 9時30分
日本銀行の金融政策が大きな節目を迎えつつある。昨年の4月に植田和男氏が総裁に就任して以来、日銀は、長期金利の誘導目標レンジを広げる対応を続けてきた。
そして、昨年末以降、「2%の物価安定目標の見通しが実現する確度は、少しずつ高まっている」(植田総裁)、という趣旨の発言が相次いでいる。一連のメッセージは、政策変更のタイミングがかなり迫っていることを示唆している。
予想される日銀の金融政策変更の中身は?
周知のように、「インフレ2%に至る確度」の判断に際して、日銀が最も重視しているのは、賃上げの広がりである。賃上げとサービス価格の双方の上昇(好循環)によって、「ディマンドプル」(需要が供給力を超えるほど強い)と言えるようなインフレが起きているかどうかである。
実際、昨年に続いて、2024年の春闘に賃上げ率は4%近くに至りそうだと筆者は見ている。日銀幹部は、「2年連続で定期昇給分を除いても約2%のベースアップがあった」ことを、3月(18~19日)と4月会合(25~26日)までに確認、「2%の物価目標の安定的実現が近づいた」と判断すると見られる。こうした見通しは、現時点で市場エコノミストの間では、コンセンサスになりつつある。
なお、日銀の現行の金融政策の枠組みは、いわば複数のツールの組み合わせとなっているため、これらの政策が一斉に変わる可能性が高い。最近の日本銀行からの情報発信に基づけば、以下のような政策変更が予想される。
・マイナス金利政策の修正。具体的には、2016年以前のように無担保コール金利をゼロ~0.1%への誘導と変更する。内田真一副総裁は、「仮に」と断りながら、この政策対応について2月8日に言及している。
・YCC(イールド・カーブ・コントロール)の本丸である長期金利ターゲットの解除。黒田(東彦)前体制時から長期金利目標は柔軟化されたので、2022年末以降は10年国債金利は0.6%程度で推移しており、インフレ期待の高まりで10年国債金利ゼロは、有名無実化している。ただし、長期金利上昇を抑制する枠組みやメドを示すなど、「YCCの機能」の一部を残すとみられる。
・2016年時に導入された「オーバーシュート型コミットメント」の撤廃。政策発動の条件となっている「物価実績が2%を安定的に超えるまで」との判断に至る可能性が高い。
・過去数年、政策手段としてほとんど使われなくなったETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)購入の枠組み終了。
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