「コロナ禍→YouTube5500万再生」歌手、驚く正体 野田愛実「ピンチをチャンスに変えた」大胆戦略
東洋経済オンライン / 2024年2月18日 12時1分
学生生活を送る傍らでシンガーソングライターとして曲作りをしながら、下北沢のライブハウスで曲を披露していた。
下北沢を活動拠点としたのは、この地にシンガーソングライターの聖地としての印象が強くあったから。そして大学も近く通いやすいこともあった。
補足すると、ライブハウスではアーティストが複数組集まり、順番に自分の持ち時間(20~30分程度)内に曲を披露する「対バン」と呼ばれる形式が今でも一般的なものになる。
駆け出しのシンガーソングライターが集うイベントでは、チケットノルマが課されることも多く、例えば3000円×5枚という感じで、集客できないアーティストは自身で身銭を切って支払わなければならない。大学時代の野田も、そういったアーティストの一人だったわけである。
そんな環境で歌い、曲を作っては音楽系のオーディションを受ける日々。それが野田の日常だった。
「まるで前進しない」気持ちの日々
2015年、最初の転機が訪れる。愛知県名古屋市で行われたZIP-FM主催のオーディションに参加しグランプリを獲得する。
そして同社のレーベルよりミニアルバムをリリースしインディーズとしてデビューする。グランプリ受賞からインディーズデビューと周囲からは勢いがついたかに見えたが、野田自身は手ごたえを感じていなかった。
「インディーズとしてデビューして、もちろんいろんなことは勉強できたんですけど、なんか全然何もないな、みたいな苦しみがあって。SNSもTwitterやインスタもたまにカバーとかも上げていたけど、バズるとかもなくて……」
大学卒業後は勉強ができたこともあり、大学院に進学。学生として音楽を続けるというスタイルがそのまま続いた。
2018年、修士課程を修了。その後、建築会社でアルバイトをしながら、音楽活動を続けていた。
少しずつ成長はしているものの、それでもまだ野田の心は満たされることはなかった。
「なんかずっと同じことを繰り返している気がして。リリースはしているし、お客さんも増えてはいるんだけど、同じことの繰り返しだなってなってましたね」
ライブも年に1回ワンマンライブを行うなど少しずつファンは増え始めてはいたものの、なかなか上手くいかないなというモヤモヤした感じがずっと続いていた。
そして、世はコロナ禍へと突入する。ライブ活動が制限され、多くのアーティストが頭を抱えたこの時期こそ、野田の大きな転機となった。
それまでの野田にとってライブハウスは、自身がシンガーソングライターであることを確認するための居場所だった。
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