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ChatGPTを「業務効率化」にしか使わない人の盲点 新しいフロンティアを切り開くこともできる

東洋経済オンライン / 2024年2月18日 10時0分

生成AI技術を生かすためには、AIに対する理解を深め、ビジネスへの応用可能性を把握することが不可欠です(写真:metamorworks/PIXTA)

ChatGPTなどの生成AI技術は、組織の内部業務の効率化に寄与するだけではなく、組織が外部に向かって行う業務に、新しいフロンティアを切り開く。また、研究開発で重要な役割を果たす。これらを実現するために、経営者の理解と積極的な関与が不可欠だ。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第114回。

日本ではバックオフィス業務の効率化が中心

ChatGPTが公開されてから1年以上の期間が経過した。単なる物珍しさの段階を卒業し、実際の活動での応用を推進する段階に入っている。

日本の企業や官庁などの利用状況を見ると、バックオフィス業務の効率化が考えられていることが多い。例えば、東京都は、昨年8月、職員向けに「文章生成AIの利活用に関するガイドライン」を策定・公開した。

ここでは、ChatGPTの利用上のルールを定めるとともに、効果的な活用事例を掲載している。その内容を見ると、バックオフィス的な業務に関わるものが中心になっており、対住民サービスへ積極的に利用するという姿勢は見られない。

金融機関でも、利用の大半は、バックオフィスにおける事務処理効率化であって、フロントオフィス的な業務に用いることは、ごく限定的にしか行われていない。

公的機関や金融機関の場合、情報の漏洩や「ハルシネーション」(幻覚現象)が深刻な問題を引き起こしうることから、外部に向けた活用に慎重になるのは当然だ。そのような慎重さは、とくに公的機関や金融機関において、大変重要なことだ。

しかも、バックオフィス業務が重要であり、そこで生成AIが大きな力を発揮することは間違いない。

しかし、組織内利用にとどまってしまえば、生成AIの持つ潜在力を十分に活用できないことになる。それは、国民経済にとって大きな損失と考えざるをえない。

適切に活用することができれば、個々の顧客の細かい要求に応えることができるシステムを作ることが可能であるはずだ。デジタル化に遅れた日本の現状を、一挙に覆すことも不可能ではない。

営業・マーケティングでの利用

企業であれば、組織内の事務効率化にとどまらず、顧客対応、営業、マーケティングにも利用を広げていくことが可能だ。同様のことが、公的な機関についても言える。例えば対住民サービスの向上のためにChatGPTを積極的に活用することが、可能であるはずだ。

こうしたサービスは、24時間365日の対応を可能にし、顧客や住民の満足度の向上に直結するだろう。また、生成AIを用いたパーソナライズされたマーケティングコンテンツは、顧客エンゲージメントの向上と、より効果的なターゲティングを実現しうる。

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