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小さなレクサス「LBX」の価値はどこにあるか? ヤリス系プラットフォームで仕上げた新機軸

東洋経済オンライン / 2024年2月19日 12時0分

もうひとつは「音」。レクサスに載せるので「雑味のない音にしなくては、と注意を払いました」(天本氏)という。各気筒の点火時期を機械的に決めるのではなく、爆発と爆発のあいだのノイズが残らないよう、微妙なチューニングを施したそうだ。

上記2つの点で、このエンジンは独特のキャラクターになっている。

駆動用バッテリーの電力量が規定を下回り、エンジン走行モードになったとき、アクセルペダルを強めに踏み込んでみると、常用速度域でのドンっというトルク感を経て(だいたい2000~4000rpm)、その先のレッドゾーン近くまで一気に回る。

このとき高音の、ふだんはあまり耳慣れしていないエンジン音が響く。前出の天本氏によると「高回転域で聞こえるきれいな高音こそ、3気筒エンジンの醍醐味」だそう。エンジン音が大きいと思わず、音に耳を傾ける価値があるということかもしれない。

乗る前の期待感からいうと、「軽いフットワークを感じさせる仕上がりかな」と思っていたが、実際は重厚感が勝っていた。なるほど、大型のレクサス車からの乗り換えでも、受け入れられるキャラクターだ。目的に対して上手に仕上がっている印象だ。

さらに、LBXにはもうひとつのモデルが控えている。「スポーティなドライビングが好きな方向けには、1.6リッターガソリンエンジンモデルを開発中です」。遠藤CEはそう明かす。

2024年1月の「東京オートサロン2024」で壇上に置かれた「LBX MORIZO RR CONCEPT」をベースに、量産型とするモデルが計画されているのだ。

ショー会場で会ったとき、遠藤CEが「(LBX MORIZO RR CONCEPTの開発の眼目は)反応のよさ」と語っていたのを、私はよく覚えている。イエローをアクセントカラーにした車体は、クルマ好きにはたいそう魅力的に見えたものだ。

ヒエラルキーにとらわれないクラスレスの価値

遠藤CEの話などを聞いたうえでLBXを経験した私は、フォルクスワーゲン「ゴルフ」を連想した。ゴルフがヒットした理由として、“クラスレス感覚”が取り沙汰されたものだ。

廉価な大衆車としてのハッチバックでなく、大型セダンやクーペから乗り換えても遜色のない出来のよさとデザインで、ゴルフは広い層に受け入れられてきたからである。

さらに、ゴルフというブランドを盤石なものとしたのは、高性能モデル「GTI」の設定だった。

アウトバーンでポルシェに挑める性能を持つハッチバックという、カテゴリーを超越した存在となった伝説の1台だ。

「LBXで目指すのは現代のゴルフですか?」と私が尋ねると、遠藤CEは「考えてもいませんでした」と否定したが、少なくとも乗る立場としては、「IS」の上に「ES」がありその上にLS……、といった縦のヒエラルキーにとらわれないモデルだと思う。

小川 フミオ:モータージャーナリスト

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