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JR貨物社長が語る「上場可能性」や対トラック戦略 青函トンネル、並行在来線、新幹線荷物輸送は?

東洋経済オンライン / 2024年2月19日 6時30分

――行きと帰り、たとえば東京から地方と地方から東京の鉄道貨物の輸送量はバランスしているのですか。

基本的には首都圏は到着する量のほうが多い。ただ、首都圏・九州については首都圏から九州に向かう荷物のほうが圧倒的に多く、九州から首都圏に来る荷物は少ない。ほかには首都圏・新潟では、紙や米など新潟から来る荷物は多いが首都圏から運ぶ荷物は少ない。行きと帰りで荷物の量がバランスする区間は多くない。帰りに載せる荷物がなくても列車は動かさなくてはいけない。そこが大きな課題でもある。

トラックと比べた優位性は?

――トラックと比べたリードタイムはどうですか。駅でトラックと荷物を積み替える分だけトラックよりも時間がかかるのではないでしょうか。

単純に駅から駅へ走る距離でいうと、たとえば東京と大阪なら夜に出発すれば朝に着くので、最終目的地が駅の近くなら鉄道貨物はトラックと遜色ない。しかし最終目的地が駅から何十キロも離れていると、その分の時間が上乗せされてしまう。トラックなら荷物を積んだらそのまま最終目的地まで行ってそこで下ろせるので、ドア・トゥ・ドアのリードタイムでいうとトラックのほうが早い。

――トラックと比べると、コスト的にはどうでしょう。

区間による。鉄道の運賃は決して高いと思わないが、鉄道の駅まで集荷してくる、鉄道の駅から最終目的地まで運ぶトラックの運賃も合わせてトータルで考えると、区間によって結構バラバラ。さきほど申し上げたとおり、行きに荷物があっても帰りに荷物がなければ、空(から)で帰るよりは安くてもいいから荷物を運ぶということもある。これはトラックも同じ。単純に運賃をトラックや船と比較するのは難しい。

――2024年問題は鉄道貨物にもコストアップ要因になりますか。

当社は変わらない。もともと運転士は距離については200km前後、時間については平均4時間程度で交代させている。

――また基本的な質問に戻ります。欧米では鉄道貨物がすごく使われていますが、日本ではトラックが優位なのはなぜですか。

海外では船が運ぶ海上コンテナを鉄道にも載せるのが基本。だから港に着いたらコンテナをそのまま貨物列車に載せて輸送する。しかし日本では鉄道コンテナと海上コンテナでは大きさが違うので、海上コンテナを貨車に載せて走るとトンネルにぶつかってしまうこともある。海上コンテナをそのまま運べるのは東京―盛岡間だけ。また、アメリカならトンネルがない区間が多いので大きなコンテナを2段積みにして運ぶこともできるし、機関車がたくさんの貨車を引っ張り、列車の長さが2kmくらいになることもある。

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