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JR貨物社長が語る「上場可能性」や対トラック戦略 青函トンネル、並行在来線、新幹線荷物輸送は?

東洋経済オンライン / 2024年2月19日 6時30分

ヨーロッパでは国が線路の維持をするというところが多い。鉄道に対する国の関わり方が日本と違っているということがベースにあって、そこに海上コンテナの使い勝手がいいとか、荷物輸送が鉄道で十分事足りるといった要因が加わるのではないか。

北海道の並行在来線「保有は現実的でない」

――北海道新幹線が札幌まで延伸されると在来線の函館―小樽間が並行在来線として切り離されますが、地元自治体は第三セクター鉄道として存続させることに消極的です。

国と北海道とJR北海道と当社の4者で情報連絡会をやっていて、函館―長万部間は貨物鉄道輸送の唯一のルートとして必要であり、残すという方向性は出ている。それをどういうスキームで維持するかということを有識者のみなさんが議論して次の方向性を出すことになると思う。

――今はJR北海道の線路の上を貨物列車が走っていますが、新幹線の札幌延伸後に並行在来線として切り離された後は、JR貨物が線路を保有するのですか。

それは現実的ではない。あくまで線路をお借りして列車を走らせるというスキームでないと。線路を保有すると維持費がかかりすぎてそれを運賃に転嫁しなくてはいけない。

――現在JR北海道に支払っている線路使用料は貨物列車が走らない場合の保守費用と貨物列車が走った場合の保守費用を比較してその差額だけ支払うというアボイダブルコストルールに基づいて算出されていますが、それでは全然足りないということですね。

旅客列車が走っているほかの並行在来線区間では国が貨物調整金という形で一定の負担をしているが、函館―長万部間が貨物鉄道だけになってしまったら、新しいスキームを考えなくてはいけない。

当社の負担が増えて運賃が上がってもトラックや船と競争しうる範囲内ならいいが、運賃がドーンと上がって「もう鉄道は使わない」となったら、収入が減って会社が維持できなくなってしまう。線路を誰がどう維持するのか、これから議論が進んでいくと思う。

――青函トンネルの共用走行についてはいかがでしょう。青函トンネル内は高速走行する新幹線と貨物列車がすれ違う際のリスクを考慮して、年末年始やゴールデンウィークなどを除き新幹線が在来線並みの速度まで落として運転していますが、札幌延伸後は新幹線もトンネル内をもっと速度を上げて走りたいはずです。

国のほうで今いろいろと検討中と聞いているので、いずれいろいろな案が出てくると思う。本州と北海道の間を運ぶ荷物は結構多いので当社にとってリードタイムは重要。新幹線が走っている間、貨物は待っていろと言われると困る。当社としては今のダイヤを維持したい。

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