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「お見舞い」「談話」北朝鮮が日本に発信する意図は? 日本が思っている以上に北朝鮮の対日姿勢は一貫している

東洋経済オンライン / 2024年2月19日 8時0分

そうした姿勢には韓国、とくに野党側から批判の声も強い。そのため、北朝鮮が日本への宥和的な姿勢を示すことで、韓国内の反政府側が攻撃しやすい材料を提供したという見方もある。

しかし、韓国や米国に向けて何か批判したいことがあるのなら、わざわざ日本を引き合いに出すという、回りくどい姿勢を北朝鮮は取る必要がない。

金総書記の実妹で朝鮮労働党副部長の金与正氏は、以前から「談話」という形式で、とても辛らつな表現を駆使しながら対南・対米批判を繰り返してきたことを思い出せばわかることだ。言いたいことがあれば、直接もの申すのが金正恩政権のスタイルでもある。

であれば、もう一つの理由として、2011年のときのように在日コリアンに向けたものか、とも考えられる。だが、「それはない。日本全体に向けてのお見舞いだ」とみる在日コリアンが圧倒的だ。

在日コリアン向けであれば「岸田閣下」とまで表記する理由がない。電文の内容自体も、日本国民全体に向けたものであることがはっきりと読み取れる内容だと口をそろえる。

この2つが理由ではないとなると、まずは正常な国家指導者として人道的な面から隣国の自然災害による被害を思って、純粋にお見舞いを述べたのではないかという、いちばん素直な見方が出てくる。

あえて言えば、日本と対話や接触を進めようという北朝鮮の意志、あるいは北朝鮮が対話へのシグナルを日本に発信しているのではないかとの分析がしっくりしてくる。

岸田首相の行動を注視している

ではなぜ北朝鮮が発信しているのか。それは岸田首相の言動のためだ。

岸田首相は就任以来、「条件なしの金総書記との対話」「自分直轄での日朝関係の改善」を繰り返してきた。

一見、故・安倍晋三元首相が在任中に言ってきたことと同じようだが、北朝鮮の動きを見ると、実は「岸田首相の発言は、安部政権より一歩踏み込んだことを言っているようだ」と感じている雰囲気なのだ。

北朝鮮の考え方は、おそらく次のようなことだ。「無条件での対話」を呼びかけながらも「拉致問題の解決」という条件を付けてきて行動に移さなかった安部首相よりも、岸田首相は安倍首相の発言とは違う踏み込んだ表現をし、かつ広い視野で日朝関係の改善を呼びかけていると受け止めている。

今後、安倍首相と同じ口先だけで何もやらないのか、あるいは何か行動に出てくるのかひとまず肯定的にみてみようーー。

また、2012年に金正恩時代になって以降、北朝鮮からの発信をみてみると、日本人が思っているほど北朝鮮は日本のことを敵対的に思っていない。

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