「沢田研二75歳」変化ではなく進化する男の凄み ツアー千秋楽を改めて見て思うジュリーの魅力
東洋経済オンライン / 2024年2月20日 12時0分
この2022-23ツアーだけでなく、2018年以降のジュリーはこの日のために粛々と準備を進めていたともいえるだろう。
新型コロナウイルスの影響が出はじめた2020年のツアーは中止されたものの、不幸中の幸いで当時のツアーはギターの柴山和彦(1980年からの相棒)との2人体制だったことから、翌2021年には感染対策をし、静かめの曲を中心としたツアーを実施した。
おそらくその頃には「誕生日が日曜日となる2023年にさいたまスーパーアリーナでライブを、しかも満席で」を念頭に動いていたのだろう。その次のツアーからバンド編成に戻したのも、あまりセットリストに多くは含めなかった大ヒット曲を増やしたのも、そして瞳・森本・岸部をゲストに迎えたのも、チケットを完売するための判断だったのだろう。
ジュリーは基本的に後ろを振り返らない人だ。
現役の証明としてツアーを行い新曲を全曲披露する。再結成やメンバー復帰は多くない。周年記念というとき以外は有名曲が少なめのセットリストを作る。大きな節目だった還暦時のドームコンサートさえ、歴代のバンド仲間や内田裕也といったゲストなしで行った(しかも演奏は6時間以上!)。
雑誌などで回顧特集が組まれることをよしとしない(協力しない)。カバーをあまり許可しない(カバーされているのは彼の管理下にない曲だ)。されるのを好まない。トリビュート・アルバムは作らせない(後輩ロッカーはみんな作りたくてうずうずしているはず)。
アリーナを満席にするための「譲歩」
そんな彼からすれば、今回の「バンド編成、ヒット曲多め、ゲスト有り」は大幅な譲歩だったと思う。すべては満席にするため。
そしてその希望はかなえられた。ファンもそんなジュリーの想いを汲んで集まった。Blu-rayで時折映る客席の顔の美しいことといったらない。
遅くなったが現在(2022年以降)のジュリーを支えているバンド・メンバーを紹介したい。上記した柴山は現在も在籍。1980年以降、CO-COLO時代の数年間以外はずっと活動を共にしている。今回はこのペア=ジュリー&カズを補完するためにメンバーを集めたという構図だと思う。
ベース、ギター、ドラムは1990年代にジュリーのベーシストだった依知川伸一と、彼が1997年から活動しているトリオBARAKAの高見一生と平石正樹。四半世紀以上の間柄なので3人の息の合いかたは保証付き。
キーボードは奥田民生や渡辺美里ほか、歌謡曲のレコーディングでも名前を目にする斎藤有太。ジュリーの妻、田中裕子のレコーディングに参加もしているので間接的な関わりはあったといえるだろうか。
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