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北米で快進撃「ゴジラ-1.0」ヒットの"4つのカギ" TOHO Global社長の植田浩史氏にインタビュー

東洋経済オンライン / 2024年2月22日 12時20分

その結果、北米興収は5641万ドル(約84億円)を少し超えたところ(2月1日で公開終了)。邦画実写としては、『子猫物語』(1329万ドル:約20億円)を大きく上回り、34年ぶりに記録を塗り替えて歴代1位に。

アジア実写映画としても、5300万ドル台の『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)や、『HERO』(チャン・イーモウ監督)を抜いて歴代1位。

外国語実写映画としては、1億2800万ドル台の米・中・台・香の合作『グリーン・デスティニー』(アン・リー監督)、5700万ドル台の『ライフ・イズ・ビューティフル』(ロベルト・ベニーニ監督)に次ぐ3位となる快進撃となった。

『ゴジラ-1.0』記録的北米ヒット4つの要因

そんな記録的北米ヒットの要因を、植田氏は4つ挙げる。

「ひとつは、ゴジラというキャラクターのファンの土壌ができあがっていたこと。高い認知度を含めて北米での下地を築いてこられた先人に感謝しなければなりません。2つ目は、山崎貴監督による作品のすばらしさ。この作品力がもっとも大きな要素です。

3つ目は、全米脚本家組合と全米映画俳優組合のストライキがあったことで、本来であればクリスマス前の有力作品が立て込む時期に作品数が少なかったこと。大作を求める劇場のニーズにうまく組み込めました。

最後の4つ目が、Toho Internationalによる自社配給です。劇場ブッキングに限らず、eコマースも含めてゴジラファンと双方向コミュニケーションを大切にしてきた歴史を活かして、戦略的にファンとのつながりを作っていきました」

かつては、英語字幕の映画はヒットしないとも言われていたが、英語吹替版がない『ゴジラ-1.0』は、字幕版のみの公開で定説を覆すヒットになった。その背景には、北米でもコロナ禍でグローバルプラットフォームでの配信視聴が一般的になり、韓国ドラマを含め、さまざまな外国作品を字幕で見る文化が浸透していたことがある。

一方、ハリウッド版ゴジラである『ゴジラvsコング』(2021年)の北米興収は1億ドルを超えている。今回の『ゴジラ-1.0』の北米ヒットが日本では大きな話題になってはいるが、北米で日本版ゴジラはまだまだマイナー映画であり、ハリウッド大作並みの認知度を得ているわけではない。逆にいえば、この先の伸びしろは大きくあるということだろう。

そうしたなか、『ゴジラ-1.0』が「第96回アカデミー賞」視覚効果賞にノミネートされたことは大きい。それだけでも北米における影響は大きいが、もし受賞すれば、VFX技術を含めた日本映画への見方や位置づけが大きく変わるに違いない。今年のアカデミー賞授賞式は、日本映画界が注目している。

世界市場へ向けた映画製作のカギ

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