データで読む日経平均株価「バブル超え」の真実 1989年より企業利益は増えたが、源泉地が激変
東洋経済オンライン / 2024年2月22日 18時15分
興味深いのは、バブル最盛期に株とともに暴騰した不動産価格の状況だ。内閣府のデータによると、1989年から2022年では、ストックの国富全体は3231兆円から3999兆円と1.2倍程度に増えている。
しかし、その内訳を見ると、土地は逆に2266兆円から1309兆円に低下したまま。まだ4割安の状態だ。バブル最盛期超えと言っても、それは株価だけのこと。復活したのは、「金融成金」であって、「土地成金」ではないということだろう。
なお、この間に国富が増えた最大の要因は、生産設備や在庫などで構成される生産資産の大幅増だ。
1989年から2022年の間に914兆円から2260兆円と2.5倍になった。同じ時期の経済規模(名目GDP<国内総生産>)が2.5倍になったかといえば、もちろんそうではない。つまり、生産資産1単位当たりから創出される経済付加価値は減っているわけで、この付加価値生産性の低さが日本経済の抱える病巣にほかならない。
では、次にその名目GDPについて見ていこう。
名目GDPでわかる日本の低成長ぶり
2023年の名目GDPはインフレの影響もあり、前年比5.7%の591兆円となった(インフレ影響を除いた実質GDPの伸びは同1.9%増)。1989年の410兆円に対して、約1.4倍だ。
一応増えてはいるが、1989年から2022年の名目GDPの伸びでは、世界経済全体は約5倍、先進国でも例えばアメリカは約4.5倍になっている(いずれも世界銀行の推計)。日本の低成長ぶりは火を見るよりも明らかだ。
さらに、この低成長自体も女性や高齢者の就業率向上に下支えされて何とか実現したというのが現実だ。
日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに減少へ転じているが、上表のように2023年の就業者数は1989年を上回った。女性の社会進出が進んだり、健康寿命の延伸から高齢者の「Work Longer」が進展したりしたことは喜ばしいが、この効果はいずれ一巡し、永遠に続くわけではない。
株価について考えた場合、より興味深いのは次のGDPの分配面だ。
まず、家計が受け取る賃金である雇用者報酬は、1989年から2022年の間に名目GDPと同程度の約1.4倍の伸びとなっている。ここまでは普通だ。
大きな変化が見られるのは、企業に分配される利益だ。株式投資家は株価水準の高低を考慮する際、その企業の株式時価総額を純益で割ったPER(株価収益率)を参考にすることが多い。
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